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使わなきゃ損! 個人型DC iDeCo

つみたてNISA ヤングは本気の金融機関と付き合おう 積立王子のヤング投資入門(12)

2018/3/8

今回、当コラム読者にだけ初めて公開された中野さんのデスク周辺

 今年から始まった「つみたてNISA」(積み立て型の少額投資非課税制度)の1月末時点での主要証券・銀行11社における口座数は、約38万に達しました。また、昨年から制度拡充された個人型確定拠出年金「iDeCo」や既存NISAによる積立契約も合わせると、それら全ての口座数は150万を超えており、ヤング投資家の資産形成を後押ししているとの報道もありました。

 とはいえ、つみたてNISAを取り扱う金融機関の取り組み姿勢は、全体として必ずしも積極的とは言えません。その理由のひとつには、つみたてNISAの制度趣旨が「20年にわたる長期間の投資を前提としている」ことがあります。上記の報道に出てくる「主要証券・銀行」といわれる金融機関、すなわち60代以上の来店客が多数を占める対面型主体の銀行・証券では、ヤング世代から50代の現役世代までの顧客層が少なく、つみたてNISAにマッチするお客さんがなかなか見つけられないという事情があるからです。

■対面型金融機関の温度が低い真の理由

 確かにデジタルネイティブと呼ばれるヤング世代では、インターネットバンキングで事足りている人が大多数です。振込も残高照会も家に居ながらできるので銀行窓口に行く必要性を感じていないし、証券口座もいざ作ろうと思えば大半のヤングは当たり前にネット証券を選択しています。その方が手数料も安く、不必要な営業もされないからです。もちろんつみたてNISAは、シニア世代にとっても大いに便利なので参加すべき制度だと思いますが、金融機関側は「あれは資産形成層のためのものだろう」と金融庁の政策意図を勝手に忖度(そんたく)していることもあるのでしょう。

 しかしここでビジネス上の本音をつまびらかにすれば、つみたてNISAでは年間の投資上限額が40万円に定められています。対面型の証券会社も銀行もこれまで、顧客の資産を100万円、1000万円単位でいちどきに効率よく投信販売に振り向けることを常道としてきただけに、少額の積立資金を毎月集めることに慣れていません。というより、そのすべがよく分からないのです。そして何といってもこれまで当然とされてきた「販売手数料の徴収」がつみたてNISAでは認められていないため、短期的収益につながらず、どうしてもモチベーションが上がらないのです。

 そのような事情もあり、つみたてNISAは数年前のNISAのスタート時のように、口座開設者に現金2000円をプレゼントして業界がこぞって口座獲得に血道を上げる、といった熱狂とはほど遠い静けさで始まりました。

■「淘汰される金融機関」の見極めにも

 その一方、一部のネット証券には、この制度で投資初心者のヤング投資家を徹底的に取り込み、将来の顧客基盤につなげていこうと熱心に取り組んでいるところもあります。銀行の中にも、「高齢の顧客にばかり頼っていては将来がない」という経営サイドの強い危機感が反映され、つみたてNISAをフックに若い世代を顧客化して、先々住宅ローンをはじめとしたクロスセル(他の商品を併せて購入してもらうこと)につなげていこうと意欲的に推進しているところがあります。

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