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日本ワインに高貴な風 北で花開くピノ・ノワール

2018/3/10

写真はイメージ=PIXTA

「高貴」「エレガント」と評され、ワイン好きに絶大な人気を誇るブドウ品種がピノ・ノワール。かのロマネコンティもピノ・ノワールのワインだ。育てるのも難しく、ワインを造るのにも熟練の技がいる。本場はフランスのブルゴーニュだが、日本でもピノ・ノワールに取り組む生産者が増えている。山梨や長野といったワインで有名な地域だけではなく、北海道や新潟といった涼しい気候の地域で熱心な生産者が増えている。

そんな日本のピノ・ノワールに焦点を当てたのが、日本ワイン ピノ・ノワール実行委員会主催のイベント「日本ワイン ピノ・ノワールサミット」だ。近年、日本ワインブームが高まる中、もっと日本ワインの魅力と可能性について知ってもらうため、2017年から始まった。二部の試飲会には約300人のワイン愛好家が集まり、会場は熱気に包まれた。

日本ワイン ピノ・ノワールサミットのパネルディスカッション
試飲会は熱気に包まれた

■雪が寒さから守ってくれる

日本のピノ・ノワールの産地として特に熱いのが北海道だ。17年にはブルゴーニュの老舗メゾン「ドメーヌ・ド・モンティーユ」が函館でのワイナリー設立を発表し、話題になった。外資のワイナリーが日本でワイナリーを開くのは初めてだ。

余市町にある家族経営のワイナリー、ドメーヌ・タカヒコを経営する曽我貴彦さんは、日本のピノ・ノワールをけん引するカリスマ的存在だ。ワインの発売とほぼ同時に売り切れる人気だが、世間の評価に踊らされることもなく、粛々と畑と向き合っている。ピノ・ノワールは病気に弱く、栽培が難しい品種。雨の多い日本ではリスクを伴うが、2.5ヘクタールの畑にはピノ・ノワールのみを植えている。

納屋を改造したという驚くほど小さな醸造所。設備投資を抑えたのは、ワイン造りを志す人のロールモデルになりたい、という考えのもとだ
曽我貴彦さん

「北海道の最大の利点は寒さ」という曽我さん。安定して雪が降る余市では、冬の間は1mほどの雪がブドウの木をすっぽり覆うことで、木を寒さから守ってくれる。最高気温が氷点下になる気候では通常栽培できないピノ・ノワールも、積雪のおかげで栽培が可能になるのだ。目指すスタイルは、「日本でしか造れないピノ・ノワール」だ。濃くなくてもうま味があって、その後に複雑さと独特の余韻が長く続く、だしのようなワイン。曽我さんはそれを「神社仏閣を歩いているような」と表現する。その目指すスタイルのために、ブドウはすべて有機栽培、収穫したブドウは房のままタンクに入れ自然に発酵が始まるのを待つなど、できるだけ人の手を加えない造りにこだわりを持つ。筆者が14年に訪れたときには、畑にカッコウの鳴き声がこだまし、辺りはひやりと澄んだ空気に包まれていた。

小さな倉庫の醸造所で「はい、これなんだ?」と出されたのは、琥珀色に輝く液体。それが、黒ブドウ品種であるピノ・ノワールから造られた白ワイン「ナナツモリ ブランドノワール 2013 」だった。13年、台風の影響でブドウに貴腐菌が発生したため、曽我さんは貴腐菌のついたブドウから辛口白ワインを造ることに決めた。偶然の産物だが、素晴らしい出来になった。今回、久しぶりに飲んだ「ブランドノワール」は、オレンジピールや紅茶、蜂蜜などのうまみを伴った余韻が長く続き、深淵な味がした。ドメーヌ・タカヒコのワインは少量生産の上、人気が高く、手に入れるには運が必要だ。見つけたらすぐに買わないとなくなってしまう。万が一手に入ったら、大切な人とゆっくり楽しみたい。

ナナツモリ ブランドノワール M.V.
▼ナナツモリ ブランドノワール M.V. 3600円(税抜き)
「ボトルからも人を感じられるように」とワインは一本一本ろうで封をする。一本たりとも同じ形にはならない。
ドメーヌ・タカヒコ http://www.takahiko.co.jp

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