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日本ワインに高貴な風 北で花開くピノ・ノワール

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「高貴」「エレガント」と評され、ワイン好きに絶大な人気を誇るブドウ品種がピノ・ノワール。かのロマネコンティもピノ・ノワールのワインだ。育てるのも難しく、ワインを造るのにも熟練の技がいる。本場はフランスのブルゴーニュだが、日本でもピノ・ノワールに取り組む生産者が増えている。山梨や長野といったワインで有名な地域だけではなく、北海道や新潟といった涼しい気候の地域で熱心な生産者が増えている。

そんな日本のピノ・ノワールに焦点を当てたのが、日本ワイン ピノ・ノワール実行委員会主催のイベント「日本ワイン ピノ・ノワールサミット」だ。近年、日本ワインブームが高まる中、もっと日本ワインの魅力と可能性について知ってもらうため、2017年から始まった。二部の試飲会には約300人のワイン愛好家が集まり、会場は熱気に包まれた。

雪が寒さから守ってくれる

日本のピノ・ノワールの産地として特に熱いのが北海道だ。17年にはブルゴーニュの老舗メゾン「ドメーヌ・ド・モンティーユ」が函館でのワイナリー設立を発表し、話題になった。外資のワイナリーが日本でワイナリーを開くのは初めてだ。

余市町にある家族経営のワイナリー、ドメーヌ・タカヒコを経営する曽我貴彦さんは、日本のピノ・ノワールをけん引するカリスマ的存在だ。ワインの発売とほぼ同時に売り切れる人気だが、世間の評価に踊らされることもなく、粛々と畑と向き合っている。ピノ・ノワールは病気に弱く、栽培が難しい品種。雨の多い日本ではリスクを伴うが、2.5ヘクタールの畑にはピノ・ノワールのみを植えている。

「北海道の最大の利点は寒さ」という曽我さん。安定して雪が降る余市では、冬の間は1mほどの雪がブドウの木をすっぽり覆うことで、木を寒さから守ってくれる。最高気温が氷点下になる気候では通常栽培できないピノ・ノワールも、積雪のおかげで栽培が可能になるのだ。目指すスタイルは、「日本でしか造れないピノ・ノワール」だ。濃くなくてもうま味があって、その後に複雑さと独特の余韻が長く続く、だしのようなワイン。曽我さんはそれを「神社仏閣を歩いているような」と表現する。その目指すスタイルのために、ブドウはすべて有機栽培、収穫したブドウは房のままタンクに入れ自然に発酵が始まるのを待つなど、できるだけ人の手を加えない造りにこだわりを持つ。筆者が14年に訪れたときには、畑にカッコウの鳴き声がこだまし、辺りはひやりと澄んだ空気に包まれていた。

小さな倉庫の醸造所で「はい、これなんだ?」と出されたのは、琥珀色に輝く液体。それが、黒ブドウ品種であるピノ・ノワールから造られた白ワイン「ナナツモリ ブランドノワール 2013 」だった。13年、台風の影響でブドウに貴腐菌が発生したため、曽我さんは貴腐菌のついたブドウから辛口白ワインを造ることに決めた。偶然の産物だが、素晴らしい出来になった。今回、久しぶりに飲んだ「ブランドノワール」は、オレンジピールや紅茶、蜂蜜などのうまみを伴った余韻が長く続き、深淵な味がした。ドメーヌ・タカヒコのワインは少量生産の上、人気が高く、手に入れるには運が必要だ。見つけたらすぐに買わないとなくなってしまう。万が一手に入ったら、大切な人とゆっくり楽しみたい。

▼ナナツモリ ブランドノワール M.V. 3600円(税抜き)
「ボトルからも人を感じられるように」とワインは一本一本ろうで封をする。一本たりとも同じ形にはならない。
ドメーヌ・タカヒコ http://www.takahiko.co.jp

空知地方も、新しいワイナリーが増殖中の注目の産地だ。山崎ワイナリーは、三笠市で代々農業を営んできた3代目、山崎和幸さんが立ち上げた家族経営のワイナリーだ。自社畑のブドウ100%で造っており、02年に造り始めたピノ・ノワールがいきなり注目を浴びた。畑には全部で10品種が植わるが、「ピノ・ノワールが好きだから」という理由から、全栽培面積の約3分の1をピノ・ノワールが占める。現在では、大泉洋主演の映画「ぶどうのなみだ」のモデルにもなった兄弟、兄の山崎亮一さんと弟の太地さんが4代目としてワイン造りに励んでいる。

三笠市は余市よりも降雪が多く、時には2メートルの積雪に見舞われることもある。冷涼なあまり、以前はブドウが十分に熟さなかったが、徐々に気温が上昇し08年ごろから熟したブドウを収穫できるようになった。山崎亮一さんが「秋の気温が余市よりも低く、余市に比べると酸が残る」というように、北海道の中でも個性がある。小梅を口に入れたときのような高い酸味とピュアな果実味が印象的で、北国のピノ・ノワールの味がした。

▼ピノ・ノワール 青 2016 3000円(税抜き)
▼ピノ・ノワール プライベートリザーブ 2015 4000円(税抜き)
山崎ワイナリー:01267-4-4410

香りを華やかに出す砂地の土壌

一方、積雪が少なく、比較的穏やかな気候でブドウを栽培する新潟のカーブドッチワイナリーは、「ワイン産地を造ること」を強く願い92年に設立されたワイナリーだ。日本海に近い新潟市角田浜には小規模ワイナリーが集まり、「新潟ワインコースト」というワイン村を形成している。一帯にはレストランや、カフェ、スパ、宿泊施設を含めた一大観光スポットとなっており、ワインツーリズムがさかんだ。

「寒さ」が北海道の特徴だとすれば、新潟の特徴は「土壌」にある。実際に畑を訪れると驚くのだが、ブドウが植わるのは、サラサラとした砂地だ。それがワインのスタイルに大きな影響を与える。醸造家の掛川史人さんは、「砂地の土壌は、品種が持つ特徴を華やかに開かせる」という。掛川さんが目指すのは、ミルフィーユみたいなワイン。軽やかだが、細かい味の要素が重なっているような緻密なワインだ。新潟の砂地土壌は香りを華やかに出してくれるものの、果実味や酸味が弱く、ややパンチに欠けるそうだ。それでもおいしいと思わせるものはなにか、現在も試行錯誤を重ねている。14年のピノ・ノワール(2014 Bijou ピノ・ノワール)には、動物のようなやや独特の香りがある。このフレーバーは「オフフレーバー(欠陥臭)」ともいわれることもあるが、掛川さんは、数値を細かく計測した上で、あえてこの香りを出すようにワインを造った。こんな型破りのワインがあっても面白い。

▼2014 Bijou ピノ・ノワール 5600円(税抜き)
カーブドッチワイナリー:0256-77-2288
完売

高貴なブドウは造り手の情熱にも火をつける。今では日本各地でピノ・ノワールに取り組む生産者が増えているが、北海道は適地として特に盛り上がりをみせている。日本のピノ・ノワールは世界のワインと比べると「薄い」といわれることも多いが、だからこそ繊細さや奥深さが際立つ独自の魅力がある。素材の風味を大事にする日本食との相性はいうまでもない。

水上彩
 シャンパンと日本ワインを愛するライター。ワイン愛が高じて通信業界からワイン業界に転身した。最近は、毎日着物生活をめざして「きものでワイン」の日々を送っている。ワインの国際資格WSETのDiploma取得に挑戦中。

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