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女性管理職が語る

パートナーは運命共同体 伊ブランド社長に学んだ教え セイコーウオッチ取締役 庭崎紀代子氏

2018/3/8

庭崎紀代子・セイコーウオッチ取締役執行役員

 管理職として活躍する女性が仕事やプライベート、働き方への思いを自らつづるコラム「女性管理職が語る」。8人の女性管理職が交代で執筆します。今回は、セイコーウオッチ取締役の庭崎紀代子氏です。

◇  ◇  ◇

 入社して最初に配属された職場は、腕時計ではなく、ジュエリー(宝飾品)を扱う部門でした。最初はライセンスジュエリーを企画し国内で販売するのが私の業務でしたが、入社してから7~8年後に、あるイタリアのブランドを担当することになりました。

 北イタリアの小都市ヴィチェンツァには、貴金属加工産業で栄えた歴史があり、多くの宝飾品メーカーが軒を並べています。宝飾品の大規模な国際見本市も毎年開かれています。私が担当したA社はこのヴィチェンツァにあり、創業者一族が経営していました。

 A社は1970年代の創業と、ヴィチェンツァの中では新しいブランドでありながら、品質の高さとセンスで瞬く間に世界に販路を広げていました。当時、バブル景気でわいていた日本も開拓するため、当社と手を組むことになったのです。

 ジュエリーのインポート(輸入)業務では、現地法人や現地の代理店を通すことはありません。しかも、これまで接点を持たなかった相手と、会社を代表して渡り合うことになります。当時の私はインポート業務の経験が乏しく、海外企業と商談を進めるのは少し荷が重いと感じていました。

 初めてヴィチェンツァに到着すると、A社の社長は一担当者の私をすぐに自宅に招いてくださいました。「お招き本当にありがとうございます」と御礼を申し上げると、A社の社長はこう言いました。「何をいってるんだ。あなたは私たちのブランドを日本で広げてくださる大事なパートナーだ。われわれのファミリーの一員なんだよ」

 欧州のファッションジュエリーブランドの業界では、同族経営は珍しいことではありません。一般的な形態と言えます。

 そのことを人から聞いて、知ってはいました。ですが、実際にその家族の中に迎えられ、イタリア的な温かい雰囲気の中で同じ目的を持つパートナーとして仕事をするという感覚を、A社の人たちとのつながりで学ぶことができた自分は、幸運だったと思います。

 現在、私は宣伝や企画の業務で社外の方に仕事をお願いすることがよくあります。そうしたとき、サービスを提供する側も受ける側も、同じ方向に向かい、最良の結果を目指して進む運命共同体であることを忘れてはならないと思っています。

 相手が自分を対等のパートナーとして見ているという感覚があれば、お互いのためにより良い仕事をしようという気持ちになるでしょう。この次もこの人のところに良い話を持っていこうというモチベーションにつながるはずです。

 社内でも同じです。1つの仕事にはさまざまな立場でかかわる人がいます。誰もが重要なパートナーであり、同じ目標を持つ同志であることを常に意識していれば、おのずと言葉の選び方や関係性も変わります。

 2001年に腕時計部門に異動することが決まったとき、A社から担当を変えないでほしいという嘆願書がセイコージュエリーの社長宛てに送られてきました。残念ながら異動の辞令はくつがえりませんでした。それでもこのエピソードは、人間関係のあり方を思い出させ、今でも私を温かい気持ちにしてくれます。

にわさき・きよこ
 日本女子大文卒、服部セイコー(現セイコーホールディングス)入社。ライセンスジュエリーを担当。2001年にセイコーウオッチに異動。15年取締役執行役員。

[日経産業新聞2018年3月1日付]

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