グルメクラブ powered by 大人のレストランガイド

World Food Watch

とろける脂、和食に合う「国宝豚」 ハンガリーで復活

2018/3/8

90度という低温で、24時間オーブンで調理したというマンガリッツァの角煮風料理

「食べられる国宝」と呼ばれる豚がいるのをご存知だろうか。東欧ハンガリー固有の豚、マンガリッツァ豚だ。約200年前、ハンガリー周辺地域に生息する豚の交配により誕生したといい、全身が巻き毛で覆われた珍しい品種で脂肪率が世界一高い豚と言われている。

サラミやラード(脂)などの原料ともなり、第二次世界大戦までは数百万頭の規模で飼育されていたが、1970年代にはほぼ絶滅。しかし、共産主義から共和国へと体制が転換した後、1991年に同系統の豚であるイベリコ豚の産地スペインの協力によって復活を果たした。

その希少性から、2004年にハンガリーの国会はこれを「国宝」に認定。飼育頭数が約5万頭まで回復した現在は、すべての豚が血統証明書と原産地証明書付き。マイクロチップをつけて厳密に個体管理しているという。

「肉の周りだけでなく、神戸牛のように肉全体にサシが入っているのが特徴なんです」と教えてくれたのは、ハンガリー大使館の料理長、ラーツ・ゲルゴーさん。同系統のイベリコ豚よりも豚特有の臭みがないという。

「脂に甘味があるから、和食の調理法に合うんです。日本の料理って砂糖を使ったりして、後味が少し甘い。サラミやソーセージなんかも甘いと感じます。だから、マンガリッツァが合うんですよ」

ゲルゴーさんは、自宅でこの豚を使って照り焼きを作ったことがあるそう。ただし、通常照り焼きのたれに入る砂糖は使わず、しょうゆ、みりん、日本酒だけで味付けをした。「マンガリッツァに十分甘味があるから、砂糖はいらない。それでパーフェクト」。たっぷり野菜を添えて食卓に出すと、家族も大満足だったそうだ。

運よく大使館のレセプションに出る機会があり、マンガリッツァを食べた。「こんな風にも使えるんだと見せたかった」と、あえてこの肉を使った料理としてゲルゴーさんが選んだのは、中華の角煮風料理。隠し味はバルサミコ酢だ。見るからに脂たっぷりの一口大に切られたバラ肉を食べると、溶けるように口の中でなくなった。

マンガリッツァの脂肪は常温で溶けるほど融点が低いのだ。大きな塊で調理してから小さくカットしたという肉は、しっとりとして肉汁であふれ、甘い脂とバルサミコ酢のほんのりとした酸味とコクが混ざり合う。「パーフェクトマッチ」とゲルゴーさんが胸を張っていた通りの味だ。

グルメクラブ 新着記事

ALL CHANNEL