火災保険で自然災害をカバー 豪雪・豪雨リスクに備え気候変化で「オールリスク型」商品主流に

増える災害に対応しようと各社は「予防」にも力を注ぐ。三井住友海上火災保険は17年に発売した「GKすまいの保険グランド」に、防災・減災情報アラートなど5つのサービスをつけた。契約者が住む地域で、豪雨などの危険性が高まるとスマホに警戒メールを配信する。「契約は順調に伸びてきた」(火災新種保険部)という。

損保ジャパンは契約者向けに独自のハザードマップを提供する。保険金支払いデータなどを分析し、地域ごとに地震や津波、液状化、土砂災害などのリスクを示す。「今後30年以内に震度6以上の地震が発生する確率は80%」などの内容の警戒情報を提供し、建物だけでなく避難の準備にも役立ててもらう。あいおいニッセイ同和損害保険は、水回りの応急修理や玄関のカギを緊急開錠するサービスを始めている。

長期契約が多い火災保険は、20~30年前に入った保険だといわゆる「オールリスク」に対応していないケースもあり、見直しが欠かせなくなってくる。

新潟市に住む会社員、佐藤紋子さん(49)は02年、一戸建ての住宅を建てた際、大手損保の期間30年の火災保険に入った。だが最近になってその補償内容を再点検してみたところ「風水害への備えが不十分」だと感じた。水害はまったく補償されず、風や雪による災害は損害額が20万円以上でなければ支払対象にならないことが分かった。「新潟は冬になると暴風雪が多いので補償を広げたい」。多少の保険料上げはのみ込みつつ、格上げを検討し始めている。

盗難被害にも対応

損保各社ともオールリスクを標榜するだけに、現代社会に潜む様々なリスクに対応しようと試行錯誤を繰り返す。給排水設備の事故と水ぬれや盗難被害も補償対象とする流れはもはや主流。東京海上日動火災保険によると、15年度の火災保険事故件数(家財)では、盗難・水ぬれ・破損等が7割近くを占めており、「トータルアシスト住まいの保険」では「天井から突然水が漏れてきた」「子どもがうっかり窓ガラスを割ってしまった」といった場合も補償している。

自宅を修理しようと思うと、壊れた部分以外でもお金と時間がかかる。例えば瓦屋根の一部が崩れると、被害調査、水漏れへの応急処置、割れた瓦の片付けなども必要だ。東京海上はこうした費用をまとめて補償し、修理見積もりから保険金支払いまでの期間をこれまでの2週間から2日程度早めた。個人商品業務部の三水誉子課長は「小さな損害にもきめ細かく対応する。家を丸ごと守るという発想だ」と話す。

東日本大震災からまもなく7年、地震への備えも欠かせない。地震保険は単独では契約できず、火災保険とセットで加入する必要がある。また、ある火事が地震が原因だった場合、火災保険だけでは補償できないという点も改めて確認が必要だろう。

地震保険の特徴の1つとして、補償限度額が「火災保険の保険金の50%まで」というルールがある。火災保険の補償額を2千万円と設定した場合、地震で家屋が倒壊しても支払われるのは1千万円が限度になる。補償が不十分だという声を受け、損保ジャパンなどは保険金を上乗せできる特約を提供。火災保険と同額まで補償額を広げている。

(岡部貴典)

[日本経済新聞朝刊2018年3月3日付]

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