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動物の感染症、人間が損なう自然のバランス(坂東元)

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今年は近年覚えがないくらいに積雪量が多い年です。旭川の場合、降っている雪の量、降雪量は例年並みなのですが、太陽が照っていても気温が低かったり、気温が高めだと曇っていたりで、積もった雪が解けない、沈まない、蒸発しないという状態が続いています。

積雪量が1メートルを超えるとエゾシカの生存率(越冬率)、特に当歳(0歳)の子や老齢個体の生存率が下がるといわれているのですが、エゾシカにとっても今年は厳しい冬になっているかもしれません(もっともこれが本来なのですが)。

そんなわけで根雪の期間に行っているペンギンの散歩も、近年は3月に入るといつまでできるだろうかとやきもきし始めるのですが、今年はその心配もありません。最高気温が0度近くまで上がり10センチくらいの新雪が積もっている日がペンギンたちにとっては最高の散歩日和。雪を食べたりトボガン(腹ばいで滑ること)をしたり伸び伸びと散歩を楽しみます。

鳥インフルの病原性は低くなったが

ペンギンといえば鳥です。鳥と聞くと高病原性鳥インフルエンザを連想してしまい、敏感に反応してしまうのはもはや職業病の域でしょうか。近年の流行は散発的な発生で、昔のようなハクチョウなどの野鳥が数十、数百羽単位で死ぬという大量死は認められなくなりました。現在認められている鳥インフルエンザの型の病原性は低くなったと考えられますが、裏を返せば重症化しないでウイルスをばらまく不顕性感染個体(キャリア)が多くいることを意味します。潜在的な脅威は増しているのかもしれません。

インフルエンザウイルスは変異を起こしやすいウイルスですから、病原性が高くなる亜型に変異する可能性は秘めていますから気を抜いてはいけません。

2000年代初頭にH5N1型の高病原性鳥インフルエンザによる、野生の水鳥の大量死の発生、アジアでの家禽(かきん)のニワトリやアヒルの大量死が次々と報じられました。

 僕が一連の報道の中で一番違和感を覚えたのが、東南アジアの動物園でのトラなどの肉食獣の死亡事例が相次いでいたことでした。おそらく高病原性鳥インフルエンザで死亡したニワトリを与えたことが原因とされていました。

自然の生態系の中で生きることとは、食べることつまりは命を奪うことです。食物連鎖といいますが、命を終わらせることで別の命が輝き続ける仕組みともいえます。前にも書きましたがライオンの能力では能力を最大限に発揮できる健康な成獣のシマウマを狩ることはほぼ不可能です。何らかの原因で能力の衰えている個体が狩りの対象となります。その中には当然感染症にかかっている個体も含まれます。

病気という観点からみると、シマウマの中で感染症が広がることを防いでいるのがライオンということができます。治すというアプローチではなくライオンはシマウマのお医者さんでもあるのです。

自然界の中にはウイルスや細菌、寄生虫なども生きています。生態系の中ではこれらも重要な役割を担う生きものです。生態系の中での調和とバランスを保つ重要な役割を担っています。

その仕組みの中で、たとえば食べられる側の草食獣やサルがかかる感染症には食べる側の肉食獣はかからないのが基本です。僕の違和感はここにありました。これは自然界から端を発したのではなく、自然界の仕組みの中にいない人の環境が生みだしたものなのではないか?

発症は防ぐが感染は拡大 ワクチンの功罪

宿主を異常な致死率で殺してしまうウイルスは、自分の生きる環境をなくすことになり自滅に向かいます。ところが高病原性鳥インフルエンザに関しては中国などでは養鶏場のニワトリにワクチンを使うようになりました。ワクチンは感染防止ではなく発症予防で感染は成立しています。ウイルスの生きる場を提供し続けたことを意味します。

要は経済的な被害の軽減が目的です。昨年小さく報道されていましたが、中国からの観光客が持ち込む荷物の中の鶏肉を検査したところ高病原性鳥インフルエンザH5N1亜型ウイルスが検出されています。当然養鶏場の排せつ物などから自然界にウイルスが供給され続けているていることは想像に難くありません。

特に野生動物に関して、動物の正常な生態か感染症にかかっている動物の生態か、と言った視点で現象をみることができるのが獣医師であり、そこに保全獣医学といった分野が見えてきます。私たちは病気は治すべき異常なものととらえますが、自然の中では病気は正常の中に含まれているものなのだと思います。その正常なバランスを崩すような現象が起こるとき、そこには必ず異常な原因があり、残念ながら環境破壊を含め人為的な行為が原因の多くを占めているのではないでしょうか。

坂東元(ばんどう・げん)
 1961年旭川市生まれ。酪農学園大学卒業、獣医の資格を得て86年から旭山動物園に勤務。獣医師、飼育展示係として働く。動物の生態を生き生きと見せる「行動展示」のアイデアを次々に実現し、旭山動物園を国内屈指の人気動物園に育てあげた。2009年から旭山動物園長。

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