私が入試直前の3カ月間でやったのは、徹底した取捨選択です。例えば、化学は理論化学、無機化学、有機化学とありますが、理論化学は暗記しなくても解けるので全問正解を目指す。無機化学は完全に暗記なので最初から捨てる。有機化学はパズルなので、問題集を1冊やってパズルを解く練習をする。問題集は1日12時間、3日で終わらせる計画を立て、その通り3日間で勉強を済ませました。数学や国語など他の科目も同じように勉強したら、何とか合格できました。

東大大学院在学中に東大や京都大学の仲間とITベンチャーを創業。それを発展させる形で、2014年、プリファードネットワークスを立ち上げた。

プリファードネットワークスでは、AIやディープラーニング(深層学習)の手法を使った新しい技術、サービスの開発に取り組んでいます。ディープラーニングの研究・開発は、たくさんのコンピューターを効率的に動かすことがカギとなります。そのためには、コンピューターのあらゆる仕組みに精通していないといけません。また、コンピューターにとって最適の環境を作ってやることも重要です。

ここにも、筑駒時代の経験が生きています。

国立の筑駒は、私立に比べて予算が少ないのか校舎も古く、パ研のパソコンもほとんどが筑波大学からのお下がりでした。最近は最新のパソコンが入っているようですが、私の時代は開成や他の私立校が32ビット、CD-ROM付きの真新しいパソコンを使っていたのに対し、筑駒は16ビットで記憶媒体は5インチのフロッピーディスク。しかも、10台に3台ぐらいは、ガタがきてよく動かないという代物でした。

でもこれが、結果的によかった。限られたコンピューティング資源の中でどうすれば効率的にプログラムが書けるのか、どこをどう工夫すれば遅いコンピューターでもちゃんとゲームを動かせるのかといったことを、プロセッサーやハードウエアの資料を取り寄せるなどして、とことん研究しました。そうする中で、コンピューターのいろいろな所に興味が湧いてきて、それが大学での研究やその後のビジネスにもつながりました。

もし、当時の筑駒が最新のコンピューターを入れていたら、そこまで熱心に研究する気にはならなかったと思います。先輩たちも古いコンピューターを効率的に使うためにいろいろなソフトウエアを書いていたので、それも参考にしながら、日々コンピューターと格闘していました。そのことが筑駒時代の一番の思い出ですね。

筑駒は、好きなことを好きなだけやっていいよという校風なので、勉強のことはあまり考えずに好きなコンピューターに没頭できたのだと思います。もっと受験勉強をさせられるような学校だったら、コンピューターのことをこんなに好きになっていなかったと思います。

(ライター 猪瀬聖)

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