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ドローンで五輪彩ったインテル 飛行規制の突破口に? 世界最多の1218台によるライトショーに挑戦、その結果は…

2018/3/5

もう一つ、インテルが見据えているのが世界各国のドローン規制だ。高度、時間帯、場所、重量、用途、操縦方法など細かく定められているうえ、国・地域によって少しずつ異なる。ドローンが軽量で危険の少ないライトショーを突破口に、それらをひとつひとつクリアしていく戦略だ。

その先には、ドローンビジネスの可能性が大きく広がっている。インテルでドローングループのゼネラルマネジャーを務めるアニル・ナンドゥリ氏が一例としてあげるのがスポーツ中継だ。「ドローンに積んだカメラで上空から撮影できるようになれば、鮮明な3D(3次元)映像を作れるようになる」

ライトショーのドローンが離陸する場面(インテル提供)

実際、米連邦航空局(FAA)が16年にドローン規制の基本となる「パート107ルール」を定めて以来、インテルのライトショーは夜間の飛行、複数のドローンによる同時飛行などの許可をいち早くとってきた。チェン氏は「技術がそれぞれ異なるように、ドローン規制にも様々な要素がある」と自信を見せる。

許可をとるにはどんな対策が必要かを米国でつかんだうえで、ほかの国の当局とも折衝する。チェン氏は「すでに10カ国以上でショーの許可を得た」と胸を張る。ドイツ、オーストリア、メキシコ、オーストラリア、シンガポール、インドネシア――。日本でも17年7~8月にハウステンボス(長崎県佐世保市)で300台のドローンによるライトショーを実施済みだ。

国土交通省の航空局安全部運航安全課は「米国で認められているショーだからといって、日本で許可がとりやすいということはない。法律にしたがって、個別に審査する」と話すが、インテルの目はすでに20年の東京五輪に向いている。

インテルが国際オリンピック委員会(IOC)と17年に結んだ最高位スポンサー(TOP)の契約は24年まで。東京を含めて4回の大会が含まれており、ナンドゥリ氏は「それぞれ異なる計画を立てている」と明かす。

■開会式はやむなく録画を使用

そんなインテル自慢のライトショーにも泣きどころはある。一つは極限まで軽くしたため、天候の影響を受けやすいことだ。チェン氏によれば飛ばすかどうかの基準は風速8メートルというが、低木の葉が揺れ始めて池や沼の水面に波頭が立つ程度で、ものすごい強風というわけではない。雨や雪も大敵で、ハウステンボスでは15日間のショーの期間中、4日間で中止になった。

2月9日の開会式で流されたスノーボーダーの映像(インテル提供)

一方、それだけ機体が軽いにもかかわらず、規制により人混みの上は飛ぶことができない。実は平昌五輪の開会式でテレビなどで流れたスノーボーダーの映像は、事前に平昌で録画したものだ。インテルは直前までライブで飛ばすつもりでいたが、飛行エリアの下に多くの見物客が集まっていることが判明し、五輪の運営組織から飛行に待ったがかかったという。

韓国の規制が特に厳しいわけでなく、米国でも人混みの上を飛行することは禁じられている。だがインテルは乗り越えるための糸口をすでに見つけているようだ。ナンドゥリ氏は「風船は重くてもゆっくり落ちるから安全」としたうえで、「重要なのはドローンの重さではなく、落ちた時の衝撃ではないか」と指摘する。

ちなみにインテルが開会式の映像で見せたスノーボーダーは高さ100メートル。まるで生きているようにスムーズに夜空を滑った後、いったん霧散して、五輪のマークに姿を変えた。1218台のドローンが使われており、録画の段階でギネスから世界最多との認定を受けた。ライブで見たかったのは、インテルのみならず誰しもが同じだろう。

期せずして、ドローンの可能性と課題の両方を示す結果となった平昌五輪。2年後の東京大会で、インテルがどんなショーを披露してくれるのか。そこから日本におけるドローンビジネスの可能性も見えてくるかもしれない。

(オリパラ編集長 高橋圭介)

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