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AIに代替される人材とは 研究者が憂慮する未来図 紀伊国屋書店大手町ビル店

2018/3/2

入ってすぐの経済書の面陳列棚に3冊並べて展示する(紀伊国屋書店大手町ビル店)

ビジネス街の書店をめぐりながら、その時々のその街の売れ筋本をウオッチしていくシリーズ。今回は、定点観測している紀伊国屋書店大手町ビル店だ。先週は、以前から話題だったトランプ政権の暴露本がようやく発売されたため、売り場がにぎわった。季節需要で株主総会対策本などもよく売れている。そんな中、一時在庫がなくなるほどいい動きを見せたのは、人工知能(AI)の登場によって何が起きるのかを的確に描き出したAI研究者の本だった。

■著者は「東ロボくん」のディレクター

その本は新井紀子『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』(東洋経済新報社)。一見してAIの本だとはわかるが、「教科書が読めない子どもたち」がAIとどうして「vs.」で結ばれているのか、それが何を意味するのか。どうしても興味がそそられる。なにしろ著者は「ロボットは東大に入れるか」プロジェクト、通称「東ロボくん」のディレクターを務める数理論理学が専門のAI研究者だ。

不安に駆られてページを開くと、「『AIが神になる?』――なりません。『AIが人類を滅ぼす?』――滅ぼしません。『シンギュラリティが到来する?』――到来しません」と、イメージ先行の悲観論は一刀両断される。それで楽観して読み進めると、「人間の仕事の多くがAIに代替される社会はすぐそこに迫っています」と、安易な楽観論も排除される。両極端の議論を排除して見えてくる現実的な近未来図とはどんなものか。これをファクトを通じて読者に示すことが本書の狙いだ。

■AIと今の中高生の不得意なこととは?

示されるファクトは、著者が手がけている2つの研究。ひとつは「東ロボくん」、もうひとつは「vs.」をはさんで対置される「教科書が読めない子どもたち」をめぐる研究、全国読解力調査だ。「東ロボくん」からは、AIの得意なこととできないことが明確にあぶりだされる。

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