地震災害への備えは? 建物倒壊や火災の危険度を点検不動産コンサルタント 田中歩

2018/3/7
2016年4月に発生した熊本地震では住宅被害が18万棟を超えた(熊本県益城町)
2016年4月に発生した熊本地震では住宅被害が18万棟を超えた(熊本県益城町)

政府の地震調査委員会が関東から九州・沖縄まで広く被害が想定される「南海トラフ地震」について、30年以内に発生する確率が昨年より上がり、70~80%になったとの分析結果を2月9日に発表しました。これを機に地震災害を再認識し、準備を怠らないようにしたいものです。そこで今回は、住んでいる地域やこれから暮らそうと考えている地域の地震災害の危険性について、比較的簡単に調べられる方法を紹介します。

地震に関する調査、国や都が相次ぎ更新

同委員会が更新した「長期評価による地震発生確率値」によると、東海沖から九州沖に延びる南海トラフ沿いでマグニチュード(M)8~9級の巨大地震が30年以内に発生する確率は2018年1月1日時点で70~80%で、17年1月1日時点の70%に比べ上昇しました。また、茨城県沖地震(M6.7~7.2)も今後20年間に発生する確率が80%~90%(17年1月1日時点は80%)に更新されています。

さらに、2月15日には東京都が「地震に関する地域危険度測定調査」(URLは末尾※1に)をリニューアルして発表しました。この調査は建物の倒壊や火災の発生・延焼について定量的に分析し、各町丁目ごとに危険度をランク付けしたものです。都内に住んでいたり、都内で住宅を探したりしている人は、この調査をチェックするだけでも地震災害の危険性を把握できます。

東京都「地震に関する地域危険度測定調査」より

建物の倒壊、要因は耐震性と地盤

ところで、地震といえばまず気になるのが建物の倒壊です。地震で建物が倒壊するのは建物の耐震性が低いことが要因の一つです。1981年6月1日以降に建築確認申請された建物であれば「新耐震基準」と呼ばれる現行基準の建物となり、一定の耐震性があるといわれています。木造建物の場合は2000年6月1日以降に建築確認申請された建物がさらに耐震性の高い建物となります。一方、81年以前の建物は「旧耐震基準」と呼ばれ、耐震性が低いため地震の揺れ方次第では倒壊する可能性が高いと考えておく必要があります。

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