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週末レシピ タマゴサンドなら、オムレツタイプに挑戦

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NIKKEI STYLE

週末レシピ、今週は個人的ノスタルジックで純情乙女ちっくをはさんだサンドイッチ「タマゴサンド」をお届けする。パンと卵、あとは少々の調味料があればできるタマゴサンドは、しかしそれゆえに細かいことをこだわりだしたらキリがないという側面もお持ちである。今日はまずセンチメンタルがすぎる思い出を詰め込んだ、オムレツサンドから作っていく。そのあと、付け足しのようにゆで卵を使ったサンドイッチもご披露する。なぜ付け足しなのかは、のちほど説明する予定だ。

ではまず、オムレツタイプのサンドイッチから。

【材料(1人前)】

食パン 8枚切りのもの2枚 / 卵 3個 / バター 冷たいまま 大さじ2 / バター 室温に戻したもの 大さじ1 / キュウリ 2分の1本 / 粉カラシ 小さじ2分の1 / 塩 小さじ2分の1 / マヨネーズ 小さじ2分の1 / 水 大さじ1 / 好みでコショウ

【手順】

(1)キュウリのカラシあえを作る

(2)オムレツを焼く

(3)パンにはさむ

キュウリは薄くスライスする。腕に覚えがある人は包丁で、そうでない人はスライサーでいい。ここへ塩を入れ、しばらく放置し、すっかり塩気が回ってしんなりするまで待つ。

ノスタルジックその1。ここで作ろうとしているのは、実家の近くにあり、人生でもっとも多く食べたであろうパン屋のサンドイッチに入っていた、しょっぱ辛いキュウリだ。私がどんなにその店を愛したか、高校時代の思い出のどれほどがそこにあったか、話していると今年が終わってしまうので今日は割愛させてもらうが、とにかくその脇役キュウリが最高なのである。今、この歳で食べても「最高だ」と思えるのである。なのでそれを目指す。

作ってみるとわかると思うが、キュウリ2分の1本に対して塩の量は多い。普通、これではしょっぱいと感じるだろう。だがこのサンドイッチの塩気はほぼ、このキュウリだけでまかなうため、卵とパンと一緒に食べるとこのしょっぱさがちょうどいい塩梅(あんばい)となる、だまされたと思って塩を入れてほしい。

キュウリがしんなりしたら、ぎゅっと絞る。ここで余計な水分が残っていると、サンドイッチにしたときに崩れやすくなるため、特に女性はかなり力を入れて絞ってほしい。きつく絞ったらボウルに入れ、粉カラシを混ぜる。決してフランス産のムータルドなど使ってはいけない。必ず粉カラシを使用してほしい。その理由がノスタルジックその2だ。

東京に住んでいると、オシャレで本格的なパン屋には事欠かない。特に今住んでいるあたりは徒歩圏内にイカしたパン屋さんが数多くあり、毎週違う店へ行っていると次に行くのが半年後、なんてことになる。ところがそれだけパン屋がありながら、あの地元パン屋への望郷心を埋めてくれる店はなかなか見つからなかった。ノスタルジック系パン屋はあるのだが、あの味が刷り込まれすぎて「似て非なるもの」としか感じられなかったからだ。

ところが青い鳥はやはり近くにいるもので、近所のお世辞にもキレイとは言い難い店が私の救世主となった。初めてその店の看板メニュー「カラシ」を食べた時の衝撃は忘れられない。その名の通りうんとカラシが効いた、しょっぱ辛いキュウリが挟まったサンドイッチは「あの地元パン屋と実は生き別れた兄弟なのでは!?」と思うほどよく似ていたのだ。

ところがカラシはそのうち作る日がどんどん少なくなり、しまいには土曜日だけの限定メニューとなってしまった。ある日その理由を尋ねたところ、店主はちょっと誇らしげにこう言ったのだ。

「カラシは粉カラシを使うの。だから土曜日しか作れないの」。

粉カラシを使うとなぜ土曜日しか作れないのか、もともと他の曜日も作っていたではないか。問い詰めたい気持ちは山々だったが、まあいいか、また機会があったら尋ねようと思っていた。そうこうするうちにパン屋自体の営業も週に2日になり、週1になり、やってるかやってないかわからないようになり、去年ついに閉店してしまった。もう「土曜日のカラシ」は、二度と会えない幻となってしまったのだ。

しかしこれでわかっただろう。しょっぱ辛いキュウリは粉カラシで作る。これは曲げられない。そしてほんの少しのマヨネーズを入れる。これはキュウリがばらけないためのつなぎのようなものなので、小さじ2分の1でいい。全体に薄くまとわせよう。

ここでパンの準備をしよう。室温に戻したバターを、食パンの片面に塗る。サンドイッチにおけるバターには、野菜の水分をパンに伝えないという役割がある。従って、バターを塗るのはキュウリをのせる側だけだ。キュウリを並べるところまで準備できたら、いよいよオムレツを焼いて行く。

ノスタルジックその3。タマゴサンドはバターたっぷりふわふわオムレツに限る。

なぜオムレツなのかというと、それも私の思い出の中にある。20代の終わりごろ、不器用で傲慢で穴だらけの仕事しかできなかった私を、なぜかかわいがってくれた客先のおじいちゃん専務がよく連れて行ってくれた店があった。この店のタマゴサンドがオムレツだった。いつも卵を焼くのがよく見える席に陣取っては、思ったより多くのバターを使うところや、箸でぐるぐるかき混ぜ、あっという間にふわふわオムレツになる様子をうっとり眺めていたものだ。

そしてなんとそのお店も、例のしょっぱ辛いキュウリが挟まっていたのだ。これでとうとう私のタマゴサンドは「ふわふわオムレツに、しょっぱ辛いキュウリ」と決定した。もう客先の会社もとうになく、おじいちゃん専務も亡くなってしまった。あの店もこの店も、もうない。だが私はセンチメンタルな思い出とともに、自分で卵を焼くのである。

卵は3つ。ふわふわ感を増すため大さじ1の水を入れたら、空気を含ませるようによくかき混ぜる。フライパンを強火で熱し、バターを溶かしたら一気に卵液を入れ、箸でぐるぐるかき混ぜる。全体にゆるめの半熟状になったら外側から真ん中へ寄せ、パンに収まるくらいの大きさにまとめていく。レストランのオムレツのように、美しい紡錘形にする必要はない。こんもり丸くまとまればそれでいい。

パンの上にキュウリ、その上にオムレツ、さらにもう一枚のパンを重ねたら出来上がり。ふわふわオムレツと、しょっぱ辛いパリパリキュウリの対比を味わおう。

では、付け足しのようにゆで卵サンドイッチも紹介しよう。

冒頭で「純情乙女ちっく」という表現を使ったため「今どき乙女ちっくはないだろう」と昭和臭にへきえきとした方もおられるかもしれない。だが仕方ない。なぜなら、私とゆで卵サンドイッチとの仲が決裂したのはまさに「乙女ちっく全盛時代」だったからだ。

たそがれ時に見つけたフランス窓のミルキーウェイ時代に、初恋の男の子がポロリと「オレ、ゆで卵のサンドイッチって嫌い。なんかにおいが気持ち悪い」と言ったからだ。好きな男子が意思を表明したのなら、恋する女子がとる行動はひとつだろう。「わかるー。私も嫌い。なんかにおいが気持ち悪い」と付和雷同することだけだ。

ところが言霊の力は予想以上だった。不思議なことに、それまで大好きだったゆで卵サンドイッチが、その日を境に本当に気持ち悪くなってしまったのだ。それ以降、何十年も私は「ゆで卵のサンドイッチはにおいが気持ち悪い」の暗示にかかり、やっと呪いが解けたのは実に40歳を過ぎてからのことだった。今でも食べるときは、少しだけドキドキする。

【材料(1人前)】

食パン 8~10枚切りのもの 2枚 / ゆで卵 2個 / マヨネーズ 大さじ2

作り方を記すまでもあるまい。卵をゆで、刻んでマヨネーズと混ぜたものをパンに挟むだけ。ただし画像のような半熟だと、マヨネーズと混ぜたときにゆるくなりすぎてしまうため、ぜひ固ゆでにしてほしい。パンにのせる時は中央にこんもり乗せると、切った時にお店のサンドイッチみたいでカッコがつく。

誰の心にもノスタルジックなタマゴサンドがあるのではないだろうか。昔は「オムレツタイプは関西」と言われていたが、最近の東京ではオムレツタイプや、だし巻きタイプのタマゴサンドがちょっとした流行だ。そのうち江戸っ子といえばオムレツサンドという時代がくるかもしれない。そのときが来ても、私は相変わらず粉カラシをオススメしていこう。それだけは曲げられない。

(食ライター じろまるいずみ)

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