地方企業で輝くキャリア 成功増えるU・Iターン転職エグゼクティブ専門の転職エージェント 森本千賀子

また、大手サービス会社で経営戦略立案やM&A(合併・買収)業務を担っていた40歳代の方が、九州にある医療関連法人の経営企画職として転職しました。その方も九州には全く縁がありませんでしたが、数日間滞在して、その土地を見て歩き、「ここなら住みたい」と思えたそうです。結果、転職と同時に奥様とともに移住。東京在住時と同じ家賃で広さ1.5倍の家に住み、休日は温泉巡りを楽しんでいるそうです。

移住まではしなくても、「社外取締役」「非常勤監査役」などで月に1度の出張で経営に関与するケースや、「業務委託」「顧問」などの形で契約し、週に数日、その地方に滞在して首都圏と行ったり来たりで業務に携わる方も最近増えてきました。

地方にも面白い仕事 政府のマッチング施策も

IT(情報技術)・ネットが進化した現在、地方に拠点を置いていても全国にビジネス展開ができる環境が整っています。「地の利」を生かすことで成長している企業も多数。「面白い仕事をするならやはり大都市」という思い込みは捨ててください。

政府の施策に目を向けてみても、地方企業でキャリアを生かして活躍するチャンスが広がっています。

内閣府の地方創生推進室では、地域活性化の支援事業の一環として「プロフェッショナル人材戦略拠点」のプロジェクトを進めています。これは、大都市圏の企業と比べて採用力が弱い地方企業でも、「プロフェッショナル人材」(大都市圏にいる、事業企画や経営の経験が豊富な人材)を獲得できることを目的としたもの。自治体に採用側と転職希望者のコーディネートを行う窓口を設置する、採用を実施した企業に対しその費用を助成するなど、自治体ごとに異なるものの、両者のマッチングを促進する施策が打たれています。

自治体によってまだまだ温度差はありますが、この制度を積極的に活用しようとしているエリアもあります。地方への移住・転職を視野に入れている方は、希望するエリアでの取り組み状況を確認してみてはいかがでしょうか。

「家族との対話」「現地の生活のイメージ」が重要

移住を考える場合は、家族との対話がより重要になる(写真はイメージ=PIXTA)

「移住」が伴う転職を決断するとなると、「家族との相談」がより重要となります。

まずは、子どもの教育方針。子どもがまだ小さい場合、「自然豊かな環境で伸び伸び育てたい」「大都市圏の学校に進学させたい」など、夫婦間で意見が食い違うことがあります。その方針をすり合わせること、そして何より子ども自身の気持ちに耳を傾けることも大切です。

家族で移住すると決断したら、子どもの進級・進学のタイミングを踏まえ、スケジューリングしてください。たとえば、先に夫が地方に移り後から家族が追いかけるといった場合には、その間の生活費が二重にかかることになりますので、資金計画も必要です。

また、妻が仕事を持っている場合、夫が知らないキャリアビジョンを描いているかもしれません。状況によっては妻も転職、または一時的に別居という道を選ぶことにもなります。移住の検討を機に、夫婦のキャリアビジョンも共有しておきたいものです。

旅行で訪れ気に入った土地でも、いざ住んでみると、不便や不満を感じることももちろんあります。観光地だけでなく、商業・文化・医療などの施設、教育環境などを確認し、その土地での「生活」を具体的にイメージするようにしましょう。移住先として気になる地域があれば、大型連休を利用して、家族で訪れてみてください。

「ふるさと体験ツアー」などのイベントも開かれていますので、親子で参加してみる手もあります。その土地の慣習、その土地に住む人たちとの交流も経験して、判断材料としてはいかがでしょうか。

※「次世代リーダーの転職学」は金曜更新です。次回は3月10日の予定です。この連載は3人が交代で執筆します。

森本千賀子
morich代表取締役 兼 All Rounder Agent。リクルートグループで25年近くにわたりエグゼクティブ層中心の転職エージェントとして活躍。2012年、NHK「プロフェッショナル~仕事の流儀~」に出演。最新刊「のぼりつめる男 課長どまりの男」(サンマーク出版)ほか、著書多数。

管理職・ミドル世代の転職なら――「エグゼクティブ転職」

5分でわかる「エグゼクティブ力」
いま、あなたの市場価値は?

>> 診断を受けてみる(無料)

「エグゼクティブ転職」は、日本経済新聞社グループが運営する 次世代リーダーの転職支援サイトです

NIKKEI 日経HR


今こそ始める学び特集
ブックコーナー ビジネス書などの書評はこちら
注目記事
今こそ始める学び特集
ブックコーナー ビジネス書などの書評はこちら