NASAと日産がつくる「神の目」を持つロボットカー

リアム・ペデルセン博士(以下、ペデルセン) 計画が発表されたのは15年ですが、私が日産に来たのは5年前。その前は00年から10年間、NASAに所属していました。

小沢 何を担当していたのですか。

ペデルセン 現在、私の専門はクルマではなくロボティクスですが、NASAでは研究員として、惑星探索ロボットを開発していました。

リアム・ペデルセン博士はNASAで仕事をしていた
「なぜNASAは日産と組んだのか」という問いには「NASAの近くに日産がいる」とリアム・ペデルセン博士

始まりはなんとアポロ計画の時から

小沢 ま、マジですか! NASAが自動運転システムの開発を始めたのはいつぐらいで?

ペデルセン ロングヒストリーです。そもそも惑星で遠隔操作で動くロボットは、オートノマス(自動運転)である必要がありますから。

小沢 もしやアポロ計画の時代からですか。

ペデルセン そうです。例えば火星でロボットを動かすためには環境のセンシング(センサーなどを使用してさまざまな情報を計測・数値化する技術)が必要です。そのうえでその場で何をするかの意思決定を自ら行わなければなりません。それはロボットカーと全く同じなのです。

小沢 つまり現在つくっているのは自動運転カーではなく、ロボットカー?

ペデルセン そうです。ソフトウエア技術を入れることによって、いかにロボットカーを安全に運転させられるかが、私の責任になります。これは非常にエキサイティングなことで、例えばこの日産「リーフ」ベースのロボットカーはカメラを積んでいます。

小沢 たくさん見えます。

日産「リーフ」ベースのロボットカー
ロボットカーにはカメラを設置されている

ペデルセン 基本的には日産が日本で開発しているリーフの自動運転実験車と同じなのですが、日本では比較的実車に近い研究をしているのに対し、我々は少し先を行く研究です。ソフトウエアの研究が進んでおり、ベースになっているのはNASAのVERVE技術です。そもそもは惑星探査中に、ロボットがAIで環境を認識し、障害物を自動で避けて走行するために開発されたシステムです。

小沢 つまりハードウエア以上にソフトウエアが重要ということですね。

人の判断が必要なシーンで登場するのがSAM

ペデルセン ところでロボットカーの一番の課題が何か分かりますか? 実はセンシングした膨大なデータを整理して、実際の意味を引き出すことなんです。データはそのままでは単なる数字ですが、その中に膨大な人間やクルマ、標識の情報が詰まっています。

小沢 その情報が「歩行者だ」「クルマだ」とコンピューターに教え込むのが大変なんですね?

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