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有森裕子 「ランニング人気の陰りはチャンス?」

日経Gooday

2018/3/11

 2017年に日本経済新聞に掲載された記事(2月13日付「ランナー置き去り 市民マラソン、バブル崩壊」)は、全国各地のマラソン大会で、「参加人数の低迷により開催を中止」「運営上の混乱でランナーから苦情が殺到」などの「異変」が相次ぎ、「供給過剰のひずみ」が出始めていると報じています。

■大会の数は増えているのに、ランナーの数は減少

 この「ひずみ」の背景の1つに、ランナーの減少があるのは確かなようです。笹川スポーツ財団(東京都港区)が1年おきに実施している調査によると、年に1回以上ランニングをする「ランニング人口」の推計は、2012年の1009万人が最も多く、以降の2014年は986万人、2016年は893万人と右肩下がりの傾向を示しています。その理由として、前出の記事では「コアなランナーはいるが、あまり熱心でなかったランナーが離れ始めた」と解説されていました。

年1回以上ジョギング・ランニングを行う人の割合から推計。出典:笹川スポーツ財団「スポーツライフに関する調査報告書」(1998~2016)

 確かに、走ることが本当に好きだったり、走ることで自身の成長や体力向上が実感できたりすれば、ランニングはその人のライフスタイルの一部となっていきます。しかし、短期間で劇的な変化を求める人や、何回もレースに挑戦したけれど結果が出ない人、あるいはマンネリ化して目的を見失ってしまった人などは、自然とランニングから離れていくでしょう。これはランニングに限ったことではなく、ブームには必ずピークがあり、いつかは下降に転じることになるのは宿命だと思います。

 マラソン大会の数は急増したのに、肝心のランナーの数は減っている。こうなると、当然ながら淘汰される大会も出てきます。景観が素晴らしく、好タイムが期待できるといった、市民ランナーにとって際立った魅力があれば話は別ですが、毎回同じ催し物や、代わり映えのしない風景を見ながら走るコースでは飽きてしまいますし、「参加者の数に対して給食が十分に用意されていない」「更衣室のスペースが足りない」「誘導のミスで大きな混乱が生じた」など、運営側の不手際や準備不足があると、次回も高い参加費を払って走ろうという気持ちが薄れてしまうでしょう。

■ランナー減少の一因に参加費の高騰も?

 大会参加費の高騰も、参加者が減少する一因になっているように思います。コース上に観光名所が多く景観も楽しめる大会なら、参加費が1万円を超えても参加したいと思うランナーが多いのもうなずけます。その一方で、大きな特色のない地方のマラソン大会も、軒並み参加費が高くなっています。そうなると、より魅力のある大会へと参加者が流れてしまっても不思議はありません。

 マラソン大会で多くの人を呼び込み、地元を盛り上げたい自治体側の気持ちも分かりますが、少子高齢化が進む今、このまま大会を増やしても、参加人数が大きく増えることはないように思います。であれば、安全・快適なレースができるよう既存の大会の運営体制をしっかり整え、ランナーを飽きさせない工夫をすることはもちろんのこと、世界で戦えるスター選手を育ててマラソンそのものの注目度や人気を高めることに注力した方がいいのではないかと私は思います。

■選ばれし者だけが参加できる大会を増やすべき

 例えば、大会のあり方にしても、必ずしも「誰でもエントリーできる」ようにしなくてもいいと思うのです。「この国際大会は、オリンピックや世界選手権出場を狙う実業団レベルの選手だけが参加できる」「あの大会は、4時間以内の公認記録を持つランナーしか参加できない」など、それぞれの大会に明確なレベル(段階)を設けることで、それぞれの大会に特色が生まれ、注目度を上げられるのではないかと思います。

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