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立川談笑、らくご「虎の穴」

落語家を揺さぶる「黒い罵声」 立川吉笑

2018/3/4

上野広小路亭(東京都台東区)

 隔週日曜に更新している師匠・談笑と私によるまくら投げ企画。今回もよろしくお願い致します。

 今年も命からがら何とかバレンタインデーをやり過ごすことができた。

 落語家という人気商売に携わる以上、人気の有無を差し入れの数によって可視化されてしまうバレンタインデーという冷徹で無慈悲な一日を避けて通ることはできない。

漆黒の闇にたたずむ

 同年代の若手落語家には、男の僕から見ても「カッコイイなぁ」「すてきだなぁ」と思う方が大勢いて、当然彼らにはたくさんのチョコレートやクッキーが届けられる。一方で自分には、そういった異性を引きつける魅了が皆無だということも自覚している。

 バレンタインデー前後の落語会は、終演後に楽屋を出るとたくさんの女性ファンが出待ちをしていて、「キャー!!○○さんよ~」と黄色い声援を上げながら、目当ての落語家に駆け寄ってくる。

 周りの仲間が黄色い声援に包まれている中、一人だけ漆黒の闇にたたずむ僕。慣れているから大丈夫とうそぶいてみても、やっぱり悲しいものがある。

 ただ勘違いしてほしくないのは、僕が決して人気がないわけじゃないということ。僕を応援してくださる方もたくさんいる。

 それなのになぜ、仲間が黄色い声援に包まれる中、自分だけ漆黒の闇にたたずむことになるのか。それは、僕を応援してくださるファンの方が誰一人「黄色い声援」を送ることができないからだ。

 僕のファン層は70代の男性が圧倒的に多い。そして70代の男性は「キャー!!」という黄色い声援を送ることができない。そりゃ当然のことだ。

 僕のファンの皆さんも精いっぱい僕に声援を送ってくださるけど、明らかに「色が黒い」のだ。

 周りのイケメン落語家たちが「黄色い声援」に包まれる中、僕は「黒い声援」に引きずり込まれている。

 周りの先輩たちは

「吉笑は黒い声援に包まれていて羨ましいよ」

 と励ましてくださる。

「何でですか?」

 と聞くと

「だって考えてみろよ。お前はさぁ、例えば俺たちのファンからやじられたとしてもそれは『黄色い罵声』だからそんなにダメージないだろ?

 でも俺たちがお前のファンからやじられたらそれは『黒い罵声』だから、めちゃくちゃダメージでかいぜ」

 とのこと。

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