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人間と羊のハイブリッドに成功 臓器の工場になるか

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ナショナルジオグラフィック日本版

ヒトとヒツジの細胞をあわせ持つ「ハイブリッド胚」の作製に成功したと、米国の科学者チームが発表した。作製されたのは、ヒト細胞を0.01%もつヒツジの胚。4週が経過する時点まで育てられたこのヒツジの胚は、人間への移植を目的とした臓器作製に向け、一歩前進といえる成果である。

米国では臓器移植待ちリストに連なる人が10分に1人の割合で増加しており、毎日そのうち22人が亡くなっている。米国内だけでも、心臓移植を必要とする人は10万人以上にのぼるが、実際に移植を受けられるのは1年にわずか2000人だ。

こうした現状を受け、研究者らは人為的に臓器を供給できないか、様々な試みを行っている。3Dプリントで臓器を作る人もいれば、機械的な臓器の研究をする人もいる。キメラ(異なる2種の生物に由来する細胞をあわせ持つ生物)を作ろうというのもそうした試みの一つで、ブタやヒツジの体内で人間の臓器を育てる方法を模索している。

ヒト細胞の割合が増えた

キメラを作るには、ある動物の幹細胞を、別の動物の胚に導入する。幹細胞はどんな細胞にも成長できる細胞だが、これは適切に導入するのは非常に難しい処置だ。

このとき胚のDNAを編集し、特定の臓器を作らないようにしておくと、導入された幹細胞がそのギャップを埋めることになる。こうして、たとえば生きたブタの体内で人間の肝臓を作ることが可能になる。

2017年には、この手法を用いた研究者らがラットの体内でマウスの膵臓(すいぞう)を育てることに成功し、さらにはその膵臓を移植することによって、糖尿病のマウスを治療できることを証明してみせた。その翌日、米ソーク研究所が、ヒトの幹細胞を導入したブタの胚を4週間成長させることに成功したと発表した。

幹細胞の専門家らはこの成果を評価しつつも、ブタの胚がもつヒト細胞の割合(およそ10万個に1個)は、臓器移植に使うには低すぎるとしていた。

そして2018年2月17日、米カリフォルニア大学のパブロ・ロス氏のチームはテキサス州オースティンで開かれたアメリカ科学振興協会(AAAS)の年次総会において、実験の手法を工夫した結果、ヒツジの胚がもつヒト細胞の数を1万個に1個まで増やすことに成功したと発表した。

「臓器を作り出すには、この数ではまだ足りないでしょう」とロス氏は言う。臓器移植に使用するには、胚の1%がヒト細胞でなければならないと、ガーディアン紙は伝えている。また免疫による拒絶反応を抑えるためには、ブタやヒツジのDNAから、彼らのもつウイルスを確実に取り除くための処置も必要となるだろう。それでも今回の研究は、実用可能な臓器作製に向けた進歩と言える。

倫理の問題

研究資金が増えれば、研究のスピードは加速するだろうとロス氏は言う。米国立衛生研究所は現在、人間と動物のハイブリッドを作る研究に公的資金を投入することを禁じているが、2016年にはこの方針を取り消す可能性も示唆している(これまでの研究費用は、民間からの寄付によって賄われてきた)。

また研究が進めば、倫理面に関する監視が厳しくなるのは確実だ。ロス氏は、自分たちの研究が議論を呼びやすい性質のものであることを認めつつも、研究を進めるにあたっては十分な注意を払っていると述べている。

「今のところ、ヒト細胞の寄与は非常に小さいものです。決して人間の顔や脳を持ったブタができるわけではありません」。ロス氏と共同で研究を行っているスタンフォード大学の中内啓光氏は、総会においてそう語っている。また中内氏によると、研究者らは動物の脳や生殖器でヒト細胞が増えることがないよう、細胞を特定の場所で増殖させるよう努めているという。

ロス氏は、臓器研究へのアプローチ方法が増えることは希望につながると考えている。

「こうしたアプローチは例外なく議論を呼ぶものであり、そのどれもが完璧ではありませんが、日々誰かが亡くなっていく現状に希望を与えてくれます」と彼は言う。「私たちは病気で苦しむ人たちに臓器を提供するために、あらゆる選択肢を検討する必要があります」

(文 MICHAEL GRESHKO、訳 北村京子、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2018年2月21日付]

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