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がん患者が不安を和らげる場 「マギーズ東京」の意義

日経Gooday

2018/3/19

「マギー・K・ジェンクス氏は、乳がんが再発し『余命数ヶ月』と医師に告げられた時、強烈な衝撃を受けたといいます。にもかかわらず、次の患者がいるのでその場に座り続けることが許されませんでした。その時、がん患者のための空間がほしい。あと数ヶ月と告げられても生き続ける術はないかと、担当看護師のローラ・リー(現CEO=最高経営責任者)と必死に探したそうです」(マギーズ東京のウエブサイトより)

マギーズセンターでは建物や空間デザインなどを重視している。建築や環境を整えることは、がん患者やその家族など施設を訪れる人の心を開くと考えているからだ。マギーさんは、施設を訪れる人が尊重されている気持ちになれる「建築概要」を残した。「自然光が入って明るい」「セラピー用の個室がある」などで、これらを基に建築家に設計を依頼。マギーズ東京もこの建築概要に基づき、2棟の建物をそれぞれに設計したうえで、一人の建築家が全体を監修している。

窓から明るい光が差し込む本館の部屋
気持ちが落ち着くようなラベンダー色のクッションを用意。障子で仕切ると個室になる
大きな窓越しに東京湾の水辺が望める

本館にはオープンキッチンや座り心地のいいソファが置かれた部屋、個室、車椅子や人工肛門の利用者にも対応したトイレなどを用意。向かいのアネックス館は国産材ばかりが使われ、木の清々しい香りが漂う中、ソファや椅子に座ってくつろげる。好きな場所に座って出されたお茶を味わいながらスタッフと話をしたり、一人で考え事をしたり、図書コーナーに並ぶ本や資料を読んだりして自由に過ごせる。

この日訪れていた会社員の女性(31歳)は、小児がんを経験。治療の影響で慢性腎不全になり、フォローアップのため外来通院している。「病院の待合室に一人でいると漠然とした不安を感じたり、医師に聞きたいことをうまく伝えられずに後悔したりすることがあります。そんなときに気分を変えてみようとマギーズ東京へ。ここには心理士さんがいるのでリラックスして話せます。別荘みたいな建物にほっとするし、行きたいときに立ち寄れるカフェみたいです」と感想を聞かせてくれた。

左:部屋には和紙で作られたランプが。右:幅が広く、座り心地のいいソファを設置。中には褥瘡(じょくそう)予防のマットレスと同じものが入っており、具合が悪くなった人は楽に横になれる

■がん患者が「自分らしさ」を取り戻すサポート

センター長の秋山正子さん。2008年、スピーカーの一人として参加した国際がん看護セミナーの席上でイギリスのマギーズセンターを知った

「病院にがんの相談室はできてきていますが、予約が必要だったり、1回の相談は20分程度だったり、漠然とした悩みには応じてもらいにくかったりします。私たちが目指すのは、マギーズ東京を訪れた人が、自分らしさを取り戻せるようにサポートすること。何を不安に感じ、何にこだわり、何を心配しているのか。話にじっくりと耳を傾けることで、その方の気持ちが整理でき、自分なりの解決策を見いだしていくお手伝いをしています」と秋山さん。

例えば、あるがん患者の場合。

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