日経エンタテインメント!

「NHKがやろうとしているサイマル放送(テレビで放送中の映像をインターネットで配信する同時並行放送)でいいんじゃないか、という声もあります。でも、ワンセグが普及しなかった事実を見れば、テレビ番組をそのままネットで流せば見られる、という考え方は違うと思います。僕は、ゼロからを作り直したほうが速いと思っています。例えばバラエティーなら、『ひな壇に人が並んでも、スマートフォンでは見づらい』『テロップをたくさん出す』など、言葉にするとそういうことです。

現時点では、尖った番組を意識していますが、『地上波では放送できない』レベルではいけない。ターゲット、特に若い世代が何を求めているのかを重視しています。今、複数の恋愛リアリティー番組を制作しているんですが、高校生、大学生、結婚を考える20代と番組ごとにターゲットを細分化して、全部受けています」

ドラマの制作費に3億円以上を投入

『#声だけ天使』 声優志望の学生たちの恋や友情を描く、オリジナル連続ドラマ。藤田氏からの依頼で、劇団「扉座」主宰の横内謙介氏が脚本を執筆。1話約60分で全10回 (C)AbemaTV

18年の合い言葉は「レギュラー番組を当てよう」。その目玉として、初のオリジナル連続ドラマ『#声だけ天使』を制作、1月から放送した。内容は、声優志望の学生たちを描いた青春群像劇。メインキャストはほぼ無名の俳優が並ぶが、制作費は地上波ドラマに匹敵する3億円以上を投入したという。

「アメリカで『ハウス・オブ・カード 野望の階段』のヒットが、Netflix普及の原動力になったことを見ても、オリジナルドラマは重要。『#声だけ天使』は、予算もクオリティーも、妥協なく作ったつもりです。無名の俳優を起用したのは、『テレビの慣習を1回リセットしたい』という気持ちがあったから。今の地上波ドラマは、主演俳優を先に決めて、そこから脚本が決まっていくことも少なくない。その弊害でドラマが面白くないとの声が聞かれるのであれば、我々は逆をやりたいと思った」

他の動画配信サービスの多くが、好きな作品を選んで視聴するSVOD型であるのに対し、AbemaTVは無料で見られる「インターネットテレビ局」とうたう。約25チャンネルを有し、24時間編成された番組表に沿って、多種多様なコンテンツを配信する「リニア式」を採用している。

そして、AbemaTVの主な収入源は、番組内で流すCMの広告収入。しかし、藤田氏が「AbemaTVは年間200億円の赤字」と公言して話題にもなった。

次のページ
若者が主役のメディアに