乃木坂46をデータ分析 強みは1期生の在籍率6割超
ガールズグループの人気をCDセールスとライブ規模の両面から比較検証したところ、デビュー5~9年のキャリアでは乃木坂46、デビュー5年未満では欅坂46がトップに位置することがわかった。特に、デビュー6年目を迎えて、なお圧倒的な人気を誇る乃木坂46の強みは、1期生が6割を超えるという在籍率の高さだ。
CDセールス10万枚以上、もしくはライブ規模1万人以上の基準を満たす人気ガールズグループは、どんなキャリアを持つのだろうか。メジャーデビューしている29組についてデビューからの年数で整理してみた(表1)。
29組中、デビュー5~9年は12組。そのなかで最も勢いのあるのは乃木坂46だ。2017年11月に目標として掲げていた、初の東京ドーム公演を実現。シングルも初の実売ミリオンを突破した。乃木坂46は5~9年組では数少ない、17年にライブ規模とCDセールスともに伸ばしているグループ。それも東京ドーム公演では2日間で11万人を動員、17年にリリースした3枚のシングルはすべてミリオンヒットと高いレベルだ。
乃木坂46が2月にデビュー6年目を迎えてなお快進撃を続ける要因の1つが、1期生の在籍率の高さだ。6割超がいまだに在籍する。同じ6年目での在籍率を見るとAKB48の25.0%、SKE48の13.0%などに比べて極めて高い(表2)。デビューからの期間が1年短いHKT48をも上回っている。
在籍期間が長く知名度の高い1期生メンバーは、13年から女性誌『Ray』の専属モデルを務める白石麻衣、多数のバラエティー番組に出演する秋元真夏、ミュージカルへの出演を重ねる生田絵梨花など、個人活動も積極的に展開。結果、グループも盤石の状況にある。この安定感を背景に、17年11月にシンガポール、そして2月には香港で公演を開催。アジア展開にも力を入れ始めた。
ただし、過去のガールズグループを振り返ると、06年デビューのAKB48では絶対的なセンターだった前田敦子が卒業したのが6年目の12年。09年デビューのSKE48の1期生としてグループをけん引した松井玲奈が去ったのも6年目の15年だった。乃木坂46の平均年齢は20歳を超えており、これはメンバーの入れ替わりがあるアイドルグループとしては高い。そろそろ、人気・知名度の高い1期生の卒業が現実的なものとなってもおかしくないといえるだろう。そのときに備え、16年9月に加入した3期生が早くも女性誌専属モデルを務めるなど、若手の育成も強化しているようだ。
■猛スピードで人気が広がる欅坂46
一方、デビュー5年未満のグループは5~9年組を上回る13組。美しいコーラスを武器にした楽曲が徐々に浸透し、デビュー4年目で横浜アリーナに到達したLittle Glee Monsterのようなケースもあるが、最近はデビュー直後から、いきなり高いレベルのCDセールス、ライブ動員を誇る「ロケットスタート型」のグループが目立つ。
筆頭は欅坂46だ。デビュー2年でセールスは80万枚超えを記録。17年は幕張メッセで1万8000人の2デイズライブも開催した。その人気が広がるスピードは先輩グループと比べても驚異的で、同時期の乃木坂46は約18万枚、AKB48グループも軒並み20万枚前後のセールスだった(表3)。ライブ会場の規模も大半のグループを上回ってトップクラスだ。
また、5年未満の若手ではアニソン勢も健闘。アニメ作品からファンを取り込むため、デビュー直後から高いライブ動員を誇るグループが多い。Aqoursはデビュー2年で4万人弱収容の西武ドーム公演を実現。ワルキューレも17年に引き続き、横浜アリーナで2年連続ライブを開催する。
17年に日本デビューした韓国発のTWICEも、いきなりセールス20万枚超を記録したロケットスタートグループの1つ。2月リリースの新曲では、ミュージックビデオにアニメ『ラブライブ!』を手掛けた京極尚彦監督を起用し、アニメファン層への人気拡大を狙う。K-POP勢は韓国で実績を積む間に、日本でもファンを増やすケースも多い。スタートダッシュに成功しやすい環境といえるだろう。
今は5年、10年を超えて活躍を続けるグループも多く、女性グループは飽和状態にある。新たなグループが成功するためにはインパクトのある話題作りとともに、これまで以上にスタートダッシュが求められるようだ。
(ライター 高倉文紀、日経エンタテインメント! 伊藤哲郎)
[日経エンタテインメント! 2018年3月号の記事を再構成]
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