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五輪選手の体にセンサー 計時のオメガ、動きもつかむ 「ビッグデータ」時代幕開け AIと結びつけばコーチ代わり?

2018/2/24

まず第1にあげられるのが人工知能(AI)との融合だ。オメガと同じく五輪の最高位スポンサー(TOP)となっている中国のアリババ集団は、クラウドのデータをもとに個々のアスリートに対してどんなトレーニングをしたらいいか助言しようとしている。センサーは選手の心拍数、体温、血圧など身体の情報もとれるため、優れたコーチのいない途上国からも強い選手が育つ可能性がある。

2つ目の変革は審判だ。体操などは技が複雑になるにしたがって、人間の目だけで正確に見極めることが難しくなっており、センサーへの期待が高まっている。実際、富士通は3Dレーザーセンサーによって体操選手の動きを把握し、技の種類を自動的に特定する研究に取り組んでいる。将来は、AIが審判の一部を担うとさえいわれる。

だがオメガは、そのいずれにも消極的だ。AIについては「データは提供するが、自らコーチにはならない」。体操などの演技評価についても「審判が必要とするビデオ再生や採点ボードなどのシステムを提供することが役割」と素っ気ない。時計メーカーという本業から逸脱しないという意思表示ともとれるが、気づいたときには時代に追い抜かれている恐れもある。

■「センサーの外販も選択肢の1つ」

オメガ社長兼CEO レイナルド・アッシェリマン氏
インタビューに答えるオメガのアッシェリマンCEO(2月11日、韓国・江陵市で)

――平昌五輪でセンサーの導入を決めた理由は何ですか。

「五輪における我々の使命は、完璧なタイムキーピング(計時)だ。そのために我々は常に新しい技術を開発している。今回のセンサーは(大会から)求められたわけではなく、我々の使命をより完璧に果たすために、我々がやりたいと考えた。我々はスポーツの発展に貢献したいし、それは我々の誇りでもある」

――五輪のために開発した技術をどう本業に生かしていきますか。たとえばセンサーの技術をもとに、ウエアラブル端末を出すつもりはありませんか。

「私はスマート端末と時計はまったく違うものと考えている。オメガの時計はほとんど機械式で動いている。手作りだからこそ美しくファッショナブルで、人々の心に近づくことができる。ランニングなどで(距離や心拍数を測定できる)スマート端末をほしがっている人がいることは知っているが、それよりも我々は、ランニング後に外出する時のための美しい時計を提供したい」

――IoTの流れもあって、センサーの用途は一般の社会でますます広がると思われます。オメガのセンサーを外部の企業に販売するビジネスは考えられませんか。

「オメガの本業は時計であって、そこから外れることはない。ただ我々のグループ(スイスのスウォッチグループ)には、ほかのサイドビジネスをしている企業もある。我々と競合しないほかの業界の人が、我々の技術を使いたいというのであれば、提供してもいいのではないか。我々の技術は、幅広い分野で生きるはずだ」

――アスリート向けのクラウドサービスについてどう考えていますか。分析まで担うつもりはありますか。

「センサーで集めたデータはアスリートとコーチのためのものであって、だれもが見られるようにはしない。アスリートは自分の戦略的な情報は秘密にしておきたいはずだ。また我々はデータは提供するが、自らコーチになるつもりはない。彼らは自分たちで上手にデータを活用するだろう」

(オリパラ編集長 高橋圭介)

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