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高木琴美・P&Gジャパン執行役員生産統括本部担当

高木琴美・P&Gジャパン執行役員生産統括本部担当

管理職として活躍する女性が仕事やプライベート、働き方への思いを自らつづるコラム「女性管理職が語る」。今回は、P&Gジャパン執行役員生産統括本部担当の高木琴美氏が2度目の登場です。

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「君はこの会社で何がしたい? どうなりたい?」

入社当時から、上司に問われ続けてきた言葉です。どんなキャリアを歩みたいのかを突き詰めて考えると、おのずと人生にとって何が大切なのかにまで立ち戻ることになります。今のキャリアは自分で選び、構築してきたものですが、上司や会社がその土台を支えてくれたと感じています。

私は自分でキャリアを考えて構築する習慣を新入社員のころからたたき込まれました。当社では人生の目標を見つけ、達成するための方法論を学ぶための研修も提供されています。社員一人ひとりがキャリアについてどのような展望を持ち、会社と上司はその達成のためにどのようなサポートをするのかを、定期的に合意して文書に残す制度も用意されています。

私は「工場長になりたい」と書き続けていたため、人事や海外勤務といった、工場長として働くときに役立つスキルが身につくような仕事が与えられました。そのおかげで工場長のポストが空いたとき、準備万全で就任することができました。

キャリア形成において気をつけるべき点は、個々の社員が目指すキャリアと、会社のニーズが一致していることです。それには、会社が何を期待しているのかを上司が部下に明確に示す必要があります。組織にどのような影響を与えてほしいのかを伝え、その社員の組織における位置づけを示すことも大切です。

結果を出せていない人をみると、能力が足りないというよりも、会社から何を期待されているのかをわかっていないように思われます。会社から期待されている事柄とその水準、それらを達成するために必要なスキルを学ぶ機会――。これらを用意することで結果を出せる人材が育ちます。

私は部下が新たな課題に挑むとき、背中を押すことを意識しています。本人が「できない」と思っていても「できるから大丈夫」と背中を押して見守るのです。

昇進や大きなプロジェクトといったチャンスに対し、多くの男性はできるかどうかわからなくても「やります」と手をあげてくれます。一方、女性は100%の自信がないと手をあげない人が多いと感じます。

本人の能力を信じて、少し難しい仕事を任せないと人は伸びません。小さな失敗ですむのなら、あえて経験させるのもいいと思います。失敗から学ぶことは大切です。

部下には「自分に足りないスキルを理解し、積極的に助けを求めなさい」とアドバイスもしています。助けを求めることはキャリアのマイナスには決してなりません。結果を出すには「わかりません。今のままではできません。これを教えてください」とはっきり言うことが必要です。ぐずぐずしていては時間を浪費するだけです。

日本人特有の気質なのか、助けを求めることを「恥」だと感じる人が多いと感じます。これがスピード感を阻害し、日本人の国際競争力を著しく弱めていると思います。

人材育成には、時間と投資を惜しまない姿勢が大切です。そうして育成した部下が、いつか自分の上司となるまでに成長してくれることが私の夢です。

たかぎ・ことみ
 1990年、プロクター・アンド・ギャンブル・ファー・イースト・インク(現P&Gジャパン)入社。2017年から生産部門全体を統括する執行役員。2児の母。

[日経産業新聞2018年1月11日付]

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