『ビートたけしのスポーツ大将』 伝説の番組が復活
1985年から90年まで放送され国民的な人気を得たスポーツバラエティー『ビートたけしのスポーツ大将』(テレビ朝日系)が、27年ぶりにレギュラー番組として復活した。かつてはたけし軍団と一般の視聴者がスポーツで対戦する内容だったが、今回は天才キッズに焦点を当て、現役アスリートとの対決が見どころとなっている。
「2020年の東京オリンピックに向けて機運を盛り上げるため」とゼネラルプロデューサーの寺田伸也氏は狙いを説明する。「スポーツ番組だけでなくバラエティーでも何かできないかと検討するなかで、この番組名が挙がったんです。放送当時は自分もまだ中高生で『伝説の番組』というイメージが強かった。冠を拝借しつつ、内容を新しくしてやってみようと始まりました」
バラエティーとなると技を際立たせるためゲームのような演出をする番組が多いが、本格的な試合をすることにこだわる。「昔の映像を見るとママさんバレーチームとたけし軍団が、ただただ真剣にバレーの試合をしていたりするんですよ(笑)。飾らずに見せる部分は今も大事にしています。さすがにハンディはつけますが、たとえワンサイドゲームになってもありのままの結果を受け入れようという方針です」(寺田氏、以下同)
試合に脚色をしない分、マッチメイクに力を注ぐ。スタッフにはスポーツ局の人材も入っているとのこと。これまでに出演したスポーツ選手は競泳の瀬戸大也や、卓球の水谷隼、陸上の福島千里らがいる。トップアスリートのキャスティングは信頼関係や人脈などスポーツ局の協力がないと不可能であり、部署の垣根を超えて取り組んでいるそうだ。
一方、子どもを集めるのは、バラエティーチームが中心。「野球やサッカーなどスタッフの中にマニアが多いんです。『四国に軟球で143キロ投げるすごいピッチャーがいますよ』とか、実際に地方の大会を見て情報を仕入れてくるディレクターもいます」
子どもに合わせて休日に収録するが、そこを基準にアスリートのスケジュールも調整するのは至難のわざ。しかし実現した対決は見ごたえ十分。接戦を繰り広げた末、アスリートが子どもに負けることもあり、毎回新鮮な驚きが待っている。
番組のシンボルだった人形の「カール君」と競う100メートル走も健在。「北野暴流闘(きたのぼると)君」として生まれ変わった。「昔は手動で人が押していたのでレールから脱線することもあったのですが、今は技術が進んで完全無欠な感じ(笑)。でも迫力があるのでいいかなと」
大会委員長のビートたけしとレギュラーのナインティナインが競技以外の部分をにぎやかに盛り上げる。「たけしさんはあらゆるスポーツに明るいので、子どもに『普段はどうやって練習してるの?』とか興味を持って聞いてくれますし、ナイナイさんは相手の子と同じ目線で、キャラクターを引き出すのがうまい。子どもたちもリラックスできるようです」
今後は20年に向けて高校生も対象とし、日本代表決定戦のような状況に近付けることが目標。「この番組からオリンピック選手が出るのを期待しています。今から取材することで将来スポーツ局にも恩返しできると思っています」
(「日経エンタテインメント!」2月号の記事を再構成 文/内藤悦子)
[日経MJ2018年2月23日付]
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