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マネーコラム
カリスマの直言

2018/3/26

カリスマの直言

草刈 残念ながら、さわかみファンドでも証券税制の軽減税率の期限だった2013年末に、やはり多くの解約がありましたね。結局は、その後も基準価額は上昇したので、税金を考えても実にもったいなかったわけです。後々ファンド仲間から、「もったいないことしたな」と言われましたからね。

澤上 非課税などにつられてファンド売却に走るよりも、そのまま再投資を続けている方が、長期の財産作りには断然プラスである。そのあたりが、日本の運用会社には全く理解されていない。というか、経験したことがない。

もっときつく言っておこう。本気で長期投資をしていくのだという準備も能力もないまま、つみたてNISAの制度にのめり込んでいくというのは、顧客にとってえらい罪作りである。

さわかみファンドCIOの草刈貴弘氏(左)

指数連動型で積み立ての愚

澤上 投信を積み立てで購入する最大のメリットは、相場環境が悪く基準価額が大きく下がっている時に、購入口数を一気に増やせることだ。投信購入による財産作りは、いかに購入口数を稼ぐかが鍵となってくる。

その点、毎月一定額で投信を購入すれば基準価額が下がっている時ほど、購入口数はグーンと増加する。

購入口数を目いっぱい稼いでおけば、相場環境が好転してくると、財産の評価額は一気に高まる。相場が下がってもニコニコ、上がってもニコニコとできるのが、積み立て投資の醍醐味といってもいい。

草刈 そうなんですよね。下がっても次の上昇期待があるからニコニコできる。これが本当に強い。

澤上 ただし、それもこれも運用サイドが相場下落時に逃げることなく、しっかり安値を買い増してくれていることが絶対条件となる。その点、日本の投信会社が一体どこまで暴落相場を買い増しできるのだろうか? 下げ相場を右往左往するのが、彼らのいつものパターン。そうだとすると、せっかくの暴落相場で有効な買い仕込みができないことも、大いにあり得る。

もっと面倒なのは、つみたてNISAになだれ込んできている投信の大半がインデックス(指数)連動型であることだ。インデックス連動型の運用だから、相場が下がればどんどん売るし、上がれば積極的に買おうとする。

だがそれでは、とてもではないが積み立て購入制度のメリットを享受できない。むしろメリットを自ら捨てに行っているようなもの。

草刈 コストが安いからという理由がインデックス連動型が選ばれる要因ですが、結局リターンが高くなければ意味がない。ただ、インデックス連動型の値動きは所詮市場の動きに連動するだけにすぎない。

インデックス連動型を選択するのであれば、投資家自身が市場の動きを見て売買するしかないんですが、それでは安心できる積み立て投資とは違ってしまいますからね。投信は、コストを含めてもそれ以上のパフォーマンスであればいいわけなんですが。

澤上 そんなこんなで、5年もしないうちに投信業界では、大きな差がついてしまうと思うよ。さわかみファンドのような本格派の長期運用ファンドは、暴落相場でも打たれ強く伸びていこう。その横で、まともな長期運用ができないところやインデックス連動型が脱落していくのは仕方あるまい。

草刈 個人投資家も見極める目を養わないといけないですね。目先の利益にとらわれず、安心して預けられる会社、商品に出合えるかが本当に大事ですから。

澤上 そのあたり、もう18年半にわたって、さわかみファンドが実証してきたんだけどね。日本の個人はなかなか本物を見ようとしない。どうにも理解できないよ。

澤上篤人
 1973年ジュネーブ大学付属国際問題研究所国際経済学修士課程履修。ピクテ・ジャパン代表取締役を務めた後、96年あえてサラリーマン世帯を顧客対象とする、さわかみ投資顧問(現さわかみ投信)を設立。

草刈貴弘
 2008年入社。ファンドマネジャーを経て13年から最高投資責任者(CIO)。

[日経マネー2018年4月号の記事を再構成]

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