マネー研究所

行列のできる投信相談所

投信の分配金が下がった もう売った方がいい?

日経マネー

2018/3/16

写真はイメージ=123RF
日経マネー

 株式投資ほどのリスクは取れないが、分散投資でリスクを下げつつ少しでも資産を殖やしたい。こんなニーズに応えた商品として、投資信託が人気を博している。ただ、一口に投信といっても中身は多種多様。自分に合った商品を見つけるには、どうすればいいのか。投信初心者の疑問をプロが分かりやすく解説する。

◇  ◇  ◇

Dさん(以下、D) 3年前から投資信託の「フィデリティ・USリート・ファンドB(為替ヘッジなし)」に投資していますが、毎月の分配金(1万口当たり)が100円→70円→35円とどんどん下がっています。もう売った方がいいでしょうか。

吉井崇裕(以下、吉井) 同投信は2017年11月に分配金を引き下げて以降、毎月1000億円近い資金が流出しています。まさに、分配金額だけを見て投信を選んでいる個人投資家の行動がうかがえます。

D そんなに流出を……。これは早く売った方がいいですよね。

吉井 少し冷静になりましょう。投信の良しあしは分配金額の高低とは無関係です。これまで無理して分配金を払い出していたものを引き下げたのですから、私はむしろ好意的に見ています。

D では、何を見て判断するのがいいのですか。

吉井 まず、分配金を含んだトータルリターンを確認してください。同投信の過去3年間のトータルリターンは、上下に振れながらもほぼ横ばいです。Dさんの運用成果も、受け取った分配金を含めれば横ばいのはずです。

フィデリティ・USリート・ファンドB(為替ヘッジなし)の基準価額とトータルリターンの推移

D でも、基準価額はこの3年間で大きく下がりました。

吉井 それは組み入れている米国REIT(不動産投信)の相場が下落したからではなく、毎月の分配金で運用資産を取り崩したからです。今後も投資を続けるなら、まずは分配金を受け取るのをやめて、投資元本の取り崩しを防ぎましょう。そうしないと、相場が上昇した時にDさんの資産の増え幅が抑えられてしまいます。これまでに受け取った分配金が証券口座や銀行口座に残っているなら、それも再投資するといいでしょう。

D 今後の米国REIT相場は上昇するのでしょうか。

吉井 短期的に上向くかどうかは予想がつきません。運用各社のリポートによると、米国REIT全体の保有不動産の価値に対して現在の相場は割安な状況にあり、業績見通しも悪くない。利回り面で見ても過去と比べて割高ではないとのことです。足元では米国の金利上昇が逆風ですが、それほど悪い環境ではないようですね。

D では、このまま持っていた方がいいと思いますか。

吉井 それは、Dさんがどんな値動きの運用を求めているかによります。REITは株式同様に長期的には高い運用利回りが期待されますが、一方で短期的には価格が2~3割は平気で動きます。一時的に大きく値下がりしても動揺せずにいられるなら、そのまま持っていていいでしょう。しかし、もっと安定的に運用したいというなら、大きな損失を抱える前に、より安定した資産クラスにも分散投資した方がいいですね。もちろん、期待される利回りはその分下がりますが。

D リスクとリターンはトレードオフということですよね。他に何か気になる点はありますか。

吉井 人気投信は資金が流入しているうちは運用が安定し、同投信も類似投信と比較して良好な成績を残してきました。しかし、一転して資金が大量に流出し続けると、思い通りの運用ができなくなることがあります。今のところその兆しは見えませんが、注視しておくべきでしょう。

吉井崇裕
 イデア・ファンド・コンサルティング社長。ファンド・アナリストとして、国内約4000本の投資信託を常時分析する。モーニングスター、三菱アセットブレインズにてファンド・アナリスト、朝日ライフアセットマネジメントにて販売および運用関連業務に従事。現在はFP法人GAIAのセレクトファンドの選定に携わる。

[日経マネー2018年4月号の記事を再構成]

マネー研究所新着記事

ALL CHANNEL