「10年で2倍にする」 兼業投資家の株式成功術頭脳派億万投資家のテーマ株購入法(上)

日経マネー

ろ そうした状況になるとは2008年に起きたリーマン・ショックで相場が暴落し、あらゆる株がバーゲンセール状態になったあの頃には想像もつかなかった。

御 それはそう。ただ、持ち続けるとなると、握力が必要になります。そのためのロジックが僕にはない。もしかすると、ROEが高いことを基準にすれば、持ち続けられるかもしれませんね。

テンバガーを2銘柄つかむ

──投資法は異なりますが、お2人とも株式投資で3億円の資産を築かれました。資産の増加に大きく貢献した銘柄は?

ろ 2つありまして、一つは信用リスク保証を手掛けるイー・ギャランティ(東1・8771)。これが私にとって初めての「テンバガー(10倍株)」になり、この銘柄のおかげで運用資産が1億円の大台に乗りました。

もう一つは、企業の福利厚生の代行事業を展開するリログループ(東1・8876)です。約800万円で買って、評価額は1億円を超えました。まだ保有しており、売る気は今のところありません。

御 僕はアベノミクスが始まる前に先述のアークランドサービスやコメ兵(東2・2780)を持っていて、それらを売ってSHOEIに乗り換えました。これは、円安・ユーロ高になると欧州での販売が拡大して、配当性向が50%なので配当も増える。「絶対にもうかる」と考えて買ったんですね。それが的中して実際にもうかりました。

今保有する銘柄では、(企業の株主対応支援を手掛ける)アイ・アールジャパンホールディングス(東2・6035)でしょうか。この会社はコーポレートガバナンス(企業統治)の強化という時流に乗って実質的な株主調査などのサービスが伸びています。1株600円ほどで買って、18年2月上旬には2554円の上場来高値を付けました。

もっとも、「集中投資をしたい」とは思っているのですが、実際にはなかなか集中しきれていないので、1銘柄への投資でドカッと増やしたということはありません。

時流に乗る銘柄を仕込む

──「時流に乗っている」というご発言がありましたが、大きく値上がりして運用資産の増加に貢献した銘柄はやはり時流に乗っていたという面がありますか。

ろ リログループはそうです。時流に乗って伸びることを意識して買いました。IR(投資家向け広報)のイベントで、「今は定年退職を控えた社員が担当している福利厚生業務を代行していく」という趣旨の説明を聞き、「企業が本業に集中していく不可逆的な流れが強まる中、このビジネスのニーズは増えていくはずだ」と考えたのです。その後に「働き方改革」が出てきて、企業のアウトソーシングが加速したので、想定通りに時代の大きな流れにうまく乗って伸びてくれたと感じています。

御 確実に時流に乗ることを読んで投資できたのは、11年3月に発生した東日本大震災の直後ですね。東京電力(現東京電力ホールディングス、東1・9501)の福島第1原子力発電所の事故を受けて原発の安全性に対する懸念が強まった。そうなると、原発の運転が停止される。そして太陽光などの代替エネルギーや電力消費の少ないLED(発光ダイオード)照明の需要が増えると考えて、LED証明の開発・販売を手掛けるオーデリック(JQ・6889)の株が割安だったので購入しました。

そうしたら買った翌日から価格が上がりだした。先ほども話しましたが、バリュー投資(割安株投資)の人もいれば、グロース投資の人もいて、さらにテーマ株に投資する人もいる。これらの異なる手法の投資家の買いが重なった時に株価が最も強く上昇する。その上昇分を取れたら、うまく時流に乗れたことになる。その点でオーデリックの売買は成功例です。

今保有している銘柄では、先述のアイ・アールジャパンだけでなく、食肉卸のスターゼン(東1・8043)と業務用厨房大手のマルゼン(東2・5982)も、時流に乗って伸びることを狙っています。共働き世帯が増えて、いわゆる中食の需要が伸び続けていることに目を付けて買いました。(次回に続く)

(日経マネー 中野目純一)

[日経マネー2018年4月号の記事を再構成]

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