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キャリアの原点

米GEの「虎の穴」から脱落 静岡のソース老舗3代目 鳥居食品 鳥居大資社長(上)

2018/2/27

商社というと、当時は電話が鳴りっぱなしの騒がしい職場をイメージする人が多かったと思います。しかし、僕がいたのは、大きな書庫がある図書館のような部屋。与信管理の部署です。僕はここでもっぱら取引先の財務分析をしていました。加えて、1年間はずっと法律の勉強。給料をもらいながらですから、これはありがたいことでした。

ちょうど日本の景気が悪くなり始めた時期で、投資先の選別をする際の基準と、一律のルールを作ろうということになり、3年目からは格付けの勉強を命じられました。会社全体として方向転換を模索していた時期でもあり、そのために三菱商事がベンチマークしていたのがアメリカのゼネラル・エレクトリック(GE)でした。

鳥居食品は地元静岡県では「トリイソース」と呼ばれている

GEは当時、日本の会社を次々と買収。傘下に収めた日本企業をマネジメントするために、日本人を大量に採用もしていたのです。同じ部署の仲間と冗談で「俺たちも受けてみようか?」と話していたのですが、蓋を開けたら、実際に応募したのは僕だけでした。

実は入社してからずっと海外に行きたかったんです。人事面談では「海外に行かせるのは日本の大学を出た社員が先で、海外の大学院を出ている君はその後だ」と言われていました。より多くの社員に海外経験を積ませたいという考えはもっともだなと思いましたけれど、「では、何年待てばいいのですか?」と聞いた際、「10年だな」と言われたことが、心にひっかかっていました。

10年待ちだとすれば、20歳代のうちは海外に行けない。それが僕にとってはトリガー(行動を起こすきっかけ)だったのかもしれません。5年目だった2000年に僕は三菱商事を辞めてGEへ転職しました。

■GEでウェルチ氏肝いりの幹部養成コースへ

その当時、CEO(最高経営責任者)としてGEを率いていたのはジャック・ウェルチ氏です。採用された日本人のうち、すでに経験と実績のある40歳代以上は即戦力として日本での活躍が期待され、僕らのようにまだ20歳代後半の連中は、一度、米国の本社でGE色に染めてから日本へ戻すという方針でした。

あのころのGEには有名な幹部養成コースがありました。私が入社した当時、大卒向けには経理・財務の分野とIT(情報技術)の分野に、それぞれ特別なプログラムが用意されていました。私は中途採用組でしたから、大卒向けプログラムの上に用意された虎の穴コースの「CAS(Corporate Audit Staff)」に配属されました。

CASはウェルチ氏の肝いりで作られた社内監査のチームです。4カ月ごとにメンバーが入れ替わり、各地のグループ企業を監査して回ります。私が言い渡された赴任地は北米とアジア。最低2年間はチームにいられますが、3、4、5年目も生き残れるかどうかは評価次第。無事に5年間生き残れれば、最短で幹部になれるし、途中で脱落しても、ほかの人よりは早く出世できるという話でした。

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