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REIT投資の勘所

続くREITの合併 値上がり時には利益確定もあり

日経マネー

2018/3/9

日経マネー

2018年のJ-REIT価格は順調なスタートを切った。東証REIT指数は1月15日に5カ月ぶりとなる1700ポイント台を回復した。

ただし17年の価格下落要因となった、毎月分配型のREIT投信からの資金流出に伴う売り越し傾向は続いており、価格上昇は外国人がけん引している状態だ。外国人投資家は安定的な買い越し主体とならない場合が大半であるため、REIT投信の売り越し基調が続く間は反落に注意が要る。

J-REIT市場は価格面では一息ついた状況になっているが、再編の動きは続いている。

1月24日に積水ハウス傘下の積水ハウス・レジデンシャル投資法人(SHI)と積水ハウス・リート投資法人(SHR)の合併が公表され、日銀の異次元緩和後としては4例目の同一スポンサー銘柄間の合併となる。

注:投資口価格は2018年2月8日時点

リーマン・ショック後の合併事例はスポンサーが破綻するなどが要因であったが、同一スポンサーの銘柄合併は、規模拡大により市場での存在感を増すことが目的となっている。前述の積水ハウス系の合併では、資産規模が上場59銘柄の中でSHRが30位、SHIの33位から合併で11位となる。

さらに合併のメリットとして、安定的な成長基盤が確保できる点も大きい。資産規模が大きい銘柄の場合は、低い価格で増資を行っても分配金への影響を少なくすることができる。例えば5000億円の資産規模があれば、250億円の規模拡大を図るために増資を行っても分配金への影響は少ないが、2500億円規模であれば影響を受ける可能性が高くなる。

J-REIT価格は昨年低迷したが、大半の銘柄は増資を行っても分配金の希薄化を回避できる価格水準を維持している。合併しなくても増資により規模拡大を行うことは価格的にはまだ可能である。

しかし、長期的に見ればJ-REIT価格が低迷する局面も到来するだろう。そのような時期は不動産価格も低迷し、高い利回りで物件を取得できる好機となる。資産規模が大きい銘柄はその時、価格低迷で増資が出来ず成長の好機を逃す可能性が低く、有利だ。

従って同一スポンサーが運営する銘柄の合併への動きは今後も続く可能性が高いと考えられる。

ただし、現状で同一スポンサーが複数銘柄を運営しているということは、投資用途が異なる銘柄であるということである。同一スポンサー銘柄同士の合併は、投資家から見れば、合併により、資産タイプにフォーカスした業種投資から、異なる収益特性を抱え込んでいる総合型銘柄に対する投資に変化してしまうというデメリットが生じる。

合併は市場では評価されるため、合併公表後は価格が上昇することが多い。従って特定用途の銘柄に投資を志向する場合には、合併の可能性を懸念するよりは、合併後に売却して別の銘柄に乗り換える方が賢明となりそうだ。

関大介
不動産証券化コンサルティングおよび情報提供を手掛けるアイビー総研代表。REIT情報に特化した「JAPAN-REIT.COM」(http://www.japan-reit.com/)を運営する。

[日経マネー2018年4月号の記事を再構成]

日経マネー 2018年 4 月号

著者 : 日経マネー編集部
出版 : 日経BP社
価格 : 730円 (税込み)


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