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渋谷を変えるか? 東急が仕掛ける「奇妙なイベント」

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東京・渋谷駅周辺は、東急グループが2027年に向けて進めている大規模再開発で、街の雰囲気が一変しつつある。そのコンセプトは「エンタテインメントシティSHIBUYA」。「働く」「遊ぶ」「暮らす」が融合した新たなライフスタイルを提案していくと共に、「世界が注目するコンテンツの創造」と「それを発信するメディア・場の拡充」を推進しているという。その中で象徴的な役割を担うのが、17年11月に東急グループのイッツ・コミュニケーションズに入った「東京カルチャーカルチャー(カルカル)」だ。奇妙にも見えるマニアックなイベントを次々と開催し、人気が高まっている。

あの「カルカル」が東急グループへ移管

「カルカル」は「ネットとリアルをつなぐソーシャル飲食店」をコンセプトに、ニフティが07年にお台場のZepp Tokyoの2階に開設し、ゲームマニアやウェブ担当者が集う「パソコン通信のオフ会」的なイベントを開催してきた。それが16年12月に渋谷駅から徒歩4分、明治通りに面するビルに移転した。

移転して以降、話題性と発信力が高まりテレビや新聞などで、次々に取り上げられている。今期(17年4月~18年3月)のイベント数は410本で前年比112%、来場者数は約4万6000人(111%)と見込まれている。売り上げも122%と大きく伸びると予想される。

次々とメディアが飛びついてしまうのは、普通なら思いもつかないようなユニークなイベントを連発しているから。

例えば「ナース酒場」。看護師の将来を考えるとともに、病気になる前に健康を考えようという若手看護師さんのコミュニティー「看護師ーず」が、看護師が身近になり健康相談にも乗りますと企画した。集まったのは看護師と看護師さんに会いたい人々約100人。

各テーブルに置かれた血圧計での血圧測定で始まり、「看護師ーず」メンバーが予防医学の重要性をプレゼンテーション。その後は歓談時間を挟んで、看護師さんが様々なナース服を披露するファッションショーが続く。後半は食生活の相談にのりながら飲んで食べて語り合う2時間半で、最後に再び血圧測定で終了した。なかには看護師と連絡先を交換する人もいた。

テレビの情報番組でも取り上げられたのが「田中宏和運動全国大会」。田中宏和という同姓同名の人を一堂に集めてギネス世界記録を作ろうというイベントだ。元々は、広告会社に勤務の田中さんが同姓同名の野球選手を見つけたことから、同姓同名者をできるだけ多く集めたいと企画した。17年までに137名の同姓同名者が見つかったが、集まったのは87名でギネス記録達成はならなかった。

「国語辞典ナイト」は広辞苑の編集者はじめ校閲者や国語辞典好きが集まり、辞典に書いてあることは正しいのか、こんな辞典は嫌だなど、とんでもない話題を繰り広げた爆笑イベント。「路線図ナイト」は電車の路線図をただ見て「いいねぇ」というだけの飲み会。ほかにもアイドルファンの集いや数学を語るイベントもある。

多くのイベントが、出演者の人気で集客するのではなく、集まる人の関心の高さで全体を盛り上げる。事情通の出演者が語るとともに、会場の参加者からも「ツッコミ」が入る。そういった参加性が楽しさを増幅している。どれも他では見られないタイプのイベントだ。

増える企業の協賛、地方自治体のPRも

こうしたイベントの人気を評価して、企業の協賛も増えつつある。「ローソンからあげクン祭」は、本来ならその地域に行かないと食べられない「ご当地からあげ」12種類を一堂に集めた。開発担当の話を聞きながら、レギュラーのからあげからご当地からあげすべてを試食、しかもクラフトビールが飲み放題だ。

「肉とビールでダイエット!?ナイト」は肉とビールは太ると思われがちだが、肉好きやビール好きが集まってダイエットを学ぶ大人気イベント。

地方自治体のPRイベントも増えている。「冬だからこそ食べたい『旅めし』ナイト!~雪国食文化祭~」は新潟県十日町市、津南町、長野県栄村が、冬ならではの郷土料理と地酒とともに味わいながら、奥信越の魅力を理解してもらおうというおいしいイベントだ。

ほかにも伊藤園、オムロンヘルスケア、三和酒類、楽天証券などが協賛企業に名を連ねる。その理由はネットでは難しいリアルな情報を届けられることもあるが、同時に普通なら縁の薄い人たちをつなぐ力を評価しているからだ。

一見マイナーに見えるイベントが多くの人を集めるようになったのは「インフラ」と「人間関係」、2つの変化がある。

「ネットによって世界をつないでみると、昔ならちっぽけな趣味と思われていたものが、実は多くの人を集められることがわかってきた」とカルカルの渋谷移転を推進した瀬津勇人メディア事業部担当部長は説明する。

「1回戦がパソコン通信のオフ会時代。2回戦はリアルなイベントからツイッターなどでネットに発信した時代。今は3回戦、ネットが先なのかリアルが先なのか関係ない時代になっています」と語る。顔を合わせるのは1年に一度でも、ネットではいつもつながっているような感覚を持てるようになっている。

人気企画を生み出しているのは5名のプロデューサー陣。それぞれが強いジャンルを持ち、ほかでは体験できないような企画に知恵を絞っている。

利益率を考えれば「箱貸し」をした方が効率は良さそうだが、オリジナルイベントにこだわるのは「コミュニティー作り」を意識しているからとプロデューサーでシリコンバレーに3年駐在した河原あず氏はいう。

シリコンバレーではカフェで自然に会話が生まれるのに対して、日本では知らない人と話すのはそう簡単ではないことを感じたという。しかしテーマをもったイベントにすると共通の趣味を持つ安心感があり、「それ好きなんですか、僕もっすよ」という具合に会話がはずむ。

集まった人たちが自由に意見を言えることも大切にしている。対等な人間関係が人のつながりを作り広げていくからだ。スポンサーも売りたい気持ちが強過ぎると雰囲気が悪くなるので、さじかげんも重要だと理解している。フェイスブックなどSNSを活用して人が人を呼ぶ仕掛けができ、「カルカル」で知り合い友達の輪が広がっていくことも増えている。

ネットの利点を最大限活かしつつ、リアルである意味を追求する。おもしろい作品を提供する劇場と、それを素材に語り合うカフェが一体になった場が、今の時代にマッチしているということだろう。

目的は「新しい渋谷」を生み出すこと

渋谷の再開発にあたって、東急グループはクリエーティブ産業に従事する人や組織を呼び込むこと、世界に魅力を発信し観光客を集めること、その人たちが1カ所にとどまることなく街を回遊することを志向している。東急グループは沿線に自由が丘や二子玉川を持ち、「大人」「高級」「上質」なイメージが強かった。だが、カルカルはじめ新しいプロジェクトはここから一歩踏み出した「新しい渋谷」を生み出すことを求められている。

これまでも渋谷には映画館や劇場がありエンタテインメント色は強かった。だが世界で流行っているものを持って来るだけでは、渋谷の独自性は生み出せない。新しい渋谷には、毎日違うコンテンツを作り、誰がいつ来ても楽しめる街、目的なくやって来ても「おもしろいことをやっている街」にしていくことが重要になる。

ネットとリアルが一体化するタイミング、世界が注目する渋谷という街、長期的な街作りを考える東急グループの理念、それを結びつけたところに「カルカル」がある。人が集まり人がつながる。「カルカル」のユニークなイベントには、渋谷の未来を左右する意味がつまっている。

品田英雄
 日経BP総研マーケティング戦略研究所上席研究員。学習院大学卒業後、ラジオ関東(現ラジオ日本)入社、音楽番組を担当する。87年日経BP社に入社。記者としてエンターテインメント産業を担当する。97年に「日経エンタテインメント!」を創刊、編集長に就任する。発行人などを経て現職。著書に「ヒットを読む」(日経文庫)がある。
マーケティング戦略研究所

日経BP総研マーケティング戦略研究所(http://bpmsi.nikkeibp.co.jp)では、雑誌『日経トレンディ』『日経ウーマン』『日経ヘルス』、オンラインメディア『日経トレンディネット』『日経ウーマンオンライン』を持つ日経BP社が、生活情報関連分野の取材執筆活動から得た知見を基に、企業や自治体の事業活動をサポート。コンサルティングや受託調査、セミナーの開催、ウェブや紙媒体の発行などを手掛けている。

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