インテルの担当者の一人は「個人的な意見」と断ったうえで、「ユース五輪から始めるのがよいのではないか」と明かす。ユース五輪は14歳から18歳までのアスリートを対象としており、eスポーツのファン層と重なる。「ユース五輪で実績を積むうちに、五輪に採用されるかもしれない」。あるいは「e五輪」という新しい大会を立ち上げるアイデアもあるという。

準決勝まで進んだポーランド出身のオゴノスキー選手

いずれにせよ今後、eスポーツと伝統的なスポーツの接近は避けられそうにない。「スポーツをしたり見たりする子供が減っていて、どのスポーツ団体も彼らをつなぎ留める必要に迫られている」(インテルのボニーニ氏)。実際、米国でもバスケットボールの「NBA2K」、フットボールの「マッデンNFL」といったゲームが登場して人気を集めている。

そうしたなかインテルがeスポーツに注力するのは、ゲーム用パソコンの販売拡大につながるためだ。世界のパソコン市場が停滞するなか、高性能のCPU(中央演算処理装置)やグラフィックボード、メモリーなどを搭載したゲーム用は活況を呈している。eスポーツと伝統的なスポーツの橋渡しを務めることで、自らのビジネスを伸ばそうという算段だ。

両立しにくい競技性と五輪らしさ

難しいのは、eスポーツにどんなゲームを選ぶかだ。五輪のような競技性を追求すればするほど、スタークラフト2のように伝統的なスポーツとはかけ離れてしまう。逆にスポーツに近づけると、競技性が薄れてしまう。

たとえば平昌五輪では、仏ユービーアイソフトの「スティープ・ロード・トゥー・ジ・オリンピックス」というゲームがIOCから公認を受けていた。平昌五輪と同じアルペンスキーなどのコースを滑り降りる内容で、五輪らしさは満載だが、単に瞬発力を競うだけで世界大会を開くほどの魅力に欠ける。

インテルのボニーニ氏は「20年の東京五輪では平昌より大規模な大会を開きたい」としながらも、肝心のタイトルは決めかねている様子だった。

最後に、今回のIEMの参加プレーヤーにもeスポーツの未来について聞いてみた。答えてくれたのはポーランド出身のミコワイ・オゴノスキー氏(20)だ。ちなみに彼は準決勝まで残った強豪で、1万2500ドルの賞金を獲得した。

「eスポーツは通常のスポーツとはまったく別のもので、五輪の種目になろうとなるまいと、大きく成長すると思います。でも、もし五輪の種目になったら国の代表としてぜひ出場したい。賞金は出なくても名誉、栄光、そして達成感を得られます」

スタークラフト2で強くなるには1日8時間の練習は必要で、自身もライバルの過去の対戦を分析したり優れた戦術を研究したりしているという。将棋やチェスのプレーヤーと同じだ。eスポーツを五輪の種目に押し上げる最大の原動力は、こうしたプレーヤーの地道な努力なのかもしれない。

(オリパラ編集長 高橋圭介)