「準備期間があまりに短かった」と語るのは、同社でeスポーツのゼネラルマネジャーを務めるジョン・ボニーニ氏だ。IOCと契約後すぐに動き始めたが、江陵市内の主だった会場は予約でほぼ一杯。スポンサーとして初めて迎えた五輪で、ゲームのタイトルを決めるだけでも大変だったという。

eスポーツの大会として初めてIOCから公式に認められた(写真は優勝盾)

一方で、五輪とeスポーツの微妙な関係ものぞく。インテルの関係者からは「IOCとの調整」という言葉を何度も聞いた。IOCはeスポーツの大会を公認したとはいえ、eスポーツそのものを五輪種目と認めたわけではない。ひっそりとした開催には、IOCのそんな慎重な姿勢も反映しているようだ。

そもそも、eスポーツと伝統的なスポーツの間に共通点はあるのか。

今回の大会で使われたゲームは「スタークラフト2」。米ブリザード・エンターテインメント社による宇宙戦争のシミュレーションで、世界で最も人気のあるeスポーツの一つだ。プレーヤーは燃料や食料を確保しながら基地を建設するとともに、相手の基地を攻撃する。複雑な戦略が必要で、プレーヤーはゲーム専用の高機能パソコンを使う。

「スタークラフト2」の画面(米ブリザード・エンターテインメント提供)

平和の祭典とされる五輪で戦争シミュレーションとは意外な感じもする。スタークラフト2の制作ディレクター、ティム・モルテン氏は「ゲーム内容は五輪のスポーツとまったく異なる」と認めながらも、「相手に勝ちたいというプレーヤーの闘争心は共通している。アスリートの競争に関心のある人とスタークラフト2を好む人は重なるはず」と自信を見せる。

インテルでeスポーツのグローバルマーケティングの戦略立案を担うブレンダ・リンチ氏も「(競技性の高い)『本物』は人々を引き付ける。eスポーツが(五輪のような)ハイレベルのスポーツに通じることを示したい」と語った。今回の大会は、eスポーツと五輪のギャップを埋めるための第一歩といえる。

まず「ユース五輪」からという案も

では将来、eスポーツは五輪の種目になりうるのか。会場で多くの人にこの質問をぶつけてみたが、だれもが明確な答えを避けた。唯一分かったのは、インテルとIOCの間で密接に意見交換しているという事実だ。

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両立しにくい競技性と五輪らしさ