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バイオリニスト滝千春10周年のシャコンヌ

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NIKKEI STYLE

独ベルリン在住のバイオリニスト滝千春さんがデビュー10周年を迎え、3月に東京で記念公演を開く。すべて得意のプロコフィエフ作品による公演だ。バッハ「シャコンヌ」を弾きながら、ドイツで研さんを積む理由やバッハ、プロコフィエフら愛奏する作曲家について語った。

10代から国際コンクールで受賞歴を重ねる

10代でロシアの「ノボシビルスク国際バイオリンコンクール」とフランスで開催の「若い音楽家のためのメニューイン国際コンクール」の各ジュニア部門で第1位、「ダビッド・オイストラフ国際バイオリン・コンクール」で第3位となるなど、若くして目覚ましい受賞歴を重ねた。10代半ばの2002年には桐朋学園音楽部門創立50周年記念演奏会のソリストに選ばれ、小澤征爾氏の指揮でオーケストラと共演した経験も持つ。

桐朋女子高校音楽科を経て渡欧し、チューリヒ芸術大学を卒業した。高校在学中から精力的な演奏活動に乗り出していたが、本人がデビューと位置付けるのは2008年のピアニスト清水和音氏との紀尾井ホール(東京・千代田)での「デビューリサイタル」。そこから数えて今年はデビュー10周年に当たる。3月8日には10年前と同じ紀尾井ホールで「デビュー10周年記念 滝千春ヴァイオリン・リサイタル」を開く。

ドイツに移ったのは20代前半の12年。「きっかけは先生。ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団のコンサートマスターを若くして務めたサシュコ・ガブリーロフ先生の門をたたいた」と話す。群馬県の草津温泉で毎年開かれる「草津夏期国際音楽アカデミー&フェスティヴァル」に9歳で受講生として参加し、ガブリーロフ氏の指導を受けたのが出会いだったという。そのときの体験を思い起こし、欧州でさらに研さんを積むためにハンス・アイスラー音楽大学ベルリンに入学し、ガブリーロフ氏に師事した。以来、ベルリンを拠点に日欧を往復して音楽活動を続けている。

ベルリンの教会で弾いたバッハ「シャコンヌ」

演奏活動の中心は室内楽だ。「ベルリンを拠点に活動しているアンサンブルの集団があり、そこに入って演奏することが多い。ベルリンにある廃虚やベルリン・コンツェルトハウス管弦楽団の本拠地コンツェルトハウスなどで演奏したり、ハンガリーのブダペストまで演奏ツアーに行ったりしたこともある」。珍しい活動としては、ジャズドラマーと共演し、コンテンポラリー(現代音楽)を弾くこともある。もともとバイオリンのために書かれた曲にドラムを付けて演奏する。「音楽が自然に日常生活に浸透している環境があり、日本ではなかなかできない経験をさせてもらっている」と話す。

今回の映像では滝さんがJ・S・バッハ(1685~1750年)の「無伴奏バイオリンのためのパルティータ第2番ニ短調BWV1004」から有名な第5曲「シャコンヌ」を弾く様子を捉えている。「ジャズドラマーと共演した際にベルリンのカイザーウィルヘルム記念教会で『シャコンヌ』も弾いた」と言う。同教会は戦争への警告として、第2次世界大戦時の空襲で破壊されたままの姿を残す旧鐘楼で有名だ。「バッハとコンテンポラリーというコントラストの強い演奏会になり、印象深かった」と振り返る。

バッハの「無伴奏バイオリンのためのソナタとパルティータ(全6作品)」は「バイオリニストが必ず向き合う作品。私にとっていつか乗り越えるべき壁」と語る。バッハが生み出したポリフォニー(多声)の音楽世界を「バイオリン一本でどう立体的に聴かせるかがカギを握る。私にはまだ腑(ふ)に落ちるポイントが見つからない」と課題を説明する。

特に「シャコンヌ」は「演奏時間も長いので挑戦しがいがある」。曲の魅力としては「エモーショナルな部分が強いところ」と指摘する。「バッハが亡き妻を追い求めるような、悲しい気持ちが曲ににじみ出ている。バッハの音楽は数学的な面を持つが、『シャコンヌ』はほかの曲よりも人間味があって弾きがいがある」。ベルリン在住6年目に入り、今後もドイツで研さんを積んでいく中で取り組み続けるべき高みの作品と位置付ける。

得意のプロコフィエフ作品で10周年記念公演

一方で滝さんが最も得意とするのはロシア(旧ソ連)の作曲家セルゲイ・プロコフィエフ(1891~1953年)の作品だ。「ロシアの近現代音楽が好きだし得意で、特にプロコフィエフの作品に関しては弾くのに苦労した経験がない。小さい頃から素直に受け入れて弾くことができている。ありがたいことにプロコフィエフ作品の演奏で評価もされてきた」と話す。3月8日のデビュー10周年記念公演では全演目をプロコフィエフ作品が占める。ピアニスト沼沢淑音(よしと)氏との共演でバレエ音楽「シンデレラ」「ロミオとジュリエット」や交響的物語「ピーターとおおかみ」のバイオリンとピアノのための編曲版、それに「バイオリンソナタ第1番」と「同2番」を披露する。

プロコフィエフはショスタコーヴィチと並び旧ソ連を代表する作曲家だが、「自分勝手でケンカも多くて、我を通す人だった」と言う。他人と対立しがちな作曲家のこうした性格を踏まえて滝さんが引き合いに出すのは、世界的ピアニストのマルタ・アルゲリッチ氏のエピソード。「アルゲリッチがどこかのインタビューで『プロコフィエフは私のことを好きだと思うわ』と言ったのをすごく覚えている。その感覚は分かる。私もきっとプロコフィエフには嫌われなかっただろう。彼独特の旋律があるが、私には受け入れやすいし、その旋律は自分で弾いていて楽しむことができる」。一般には思いもかけない彼独特の世界だが「実は他人にも受け入れられやすいように作曲している」と指摘する。

プロコフィエフの音楽の魅力を聞くと、その「物語性」を挙げる。「物語をすごく大事にした人だった。プロコフィエフ自身も日本に滞在した前後の時期に短編集を書いている。もし音楽家でなかったら作家でありえた人。彼の頭の中には常にストーリーやキャラクターがあった」と説明に熱が入る。楽曲の特徴として「バイオリンの曲に限らずキャラクター設定がうまい。旋律の一つ一つに物語性を感じる。それがたまにセリフに聞こえたりもする。ユーモアがあり、音を映像化している」と指摘する。

20世紀のクラシック音楽というと、聴くのに難儀する前衛音楽を想像する向きもある。しかしプロコフィエフについては「人間らしさや優しさがあり、複雑なようでいて実はシンプルなつくりで、頭に残りやすい音楽」と滝さんは主張する。プロコフィエフは「新古典主義」とも呼ばれ、無調や十二音技法が全盛の現代音楽の時代に、簡潔な構成美と叙情性を持つ作品を書いた。デビュー10周年のバイオリニストは、ドイツバロック音楽の古典であるバッハを仰ぎ見ながら、プロコフィエフという現代の古典の美質を描き出す。

(映像報道部シニア・エディター 池上輝彦)

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