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自己啓発本が活況 「生きづらい」と感じる人が増加?

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NIKKEI STYLE

出版不況が続く中で、いわゆる自己啓発本が健闘しています。古くからあるジャンルですが、今、手に取る人が増えているのはなぜでしょうか。

出版科学研究所(東京・新宿)は自己啓発本を「個人の生き方や方向性を明確に示す指南書」と定義し、推移を調べています。例えば小説や伝記を読んで生き方の参考になれば自己啓発の役割を果たしているともいえますが、自己啓発本には含めず、宗教書も除いています。

同研究所の調査では、単行本の年間売り上げベスト30のうち、1990年代前半は自己啓発本が1~4冊でしたが、90年代後半から徐々に増え始め、2000年代は10冊前後に。16年は10冊、17年は8冊でした。

ロングセラーの「嫌われる勇気」(ダイヤモンド社)と「幸せになる勇気」(同)は16、17年ともに上位に入り、「漫画 君たちはどう生きるか」(マガジンハウス)、「こころの匙加減」(飛鳥新社)などが17年に新たに顔を出しました。ビジネス書と自己啓発本の垣根がなくなりつつある点が最近の特徴の一つです。

同研究所の久保雅暖研究員は「会社内でのコミュニケーションが足りず、生きづらいと感じている人が人生の指南役を求めている」と分析しています。マンガや、参考書のようなスタイルの自己啓発本が目立つのは、出版社が若年層の読者をひき付けようとしているためです。

書評サイト「ビジネスブックマラソン」を運営する書評家の土井英司氏はインターネットの影響に注目しています。かつてはビジネスに関する知識やデータをまとめた本に一定の需要がありましたが、ネットで調べられる内容の本はあまり売れなくなりました。一方、混迷する時代の生き方を説く自己啓発本には根強い人気があり、シェアが高まっているというのです。

ダイヤモンド社の松井未来・宣伝プロモーション部長もネットの影響を実感しています。「ビジネスと自己啓発の要素を掛け合わせ、人生や幸福について考えさせる本が読まれている。ネットには無料の情報があふれているので、お金を払う以上は本物を求める読者が増えている」と指摘します。

土井氏によると、最近の自己啓発本のキーワードは「長寿化」です。100歳まで生きる時代が到来する中で多くの人は人生設計の見直しを余儀なくされ、長く働く秘訣や、健康を維持する方法を伝授する本が人気を集めています。「働き方改革」の議論が活発になっていますが、「それでは自分はどうすればよいのか」と不安を感じる人が自己啓発本に答えを求めているのかもしれません。

土井英司・エリエス・ブック・コンサルティング代表取締役「『ライフ・シフト』が流れ作る」

書店に足を運ぶと様々な自己啓発本が並んでいます。書評サイト「ビジネスブックマラソン」を運営するエリエス・ブック・コンサルティング(東京・渋谷)代表取締役の土井英司さんに最近の傾向と、注目している本を聞きました。

――自己啓発本がよく売れています。

「全体の流れに大きな影響を与えているのが『ライフ・シフト』(リンダ・グラットンほか著、池村千秋訳、東洋経済新報社)です。それまで人生は80年と言われ、会社の定年後、10年、20年くらい生きると思っていたのに、人生は100年と言われた時点で、ほとんどの人は引退ができなくなったのです。人生設計のやり直しが必要になった、あるいは人生設計がそもそも成り立たなくなったといえるかもしれません。これだけ老後が長いと、働き続けるしかありません。そうなると、一つのキャリアを永続できず、人生のどこかでキャリアチェンジをしなければならない。フリーランスや副業をテーマにした本が読まれているのはそのためです」

「長く働く前提として、健康であり続けなければならない、身体が資本であるという考え方も広がり、健康をテーマとした自己啓発本が増えています。『一生使える脳』(長谷川嘉哉著、PHP新書)、『医者が教える食事術』(牧田善二著、ダイヤモンド社)、『スタンフォード式最高の睡眠』(西野精治著、サンマーク出版)はこの流れです。さらに、親の介護が切実な問題になり、働き方改革や時短をテーマにした本も目立ちます」

――老後の理想の姿が変わってきたのでしょうか。

「2000年代の前半頃までは、若いうちにたくさん稼ぎ、引退して南の島で暮らすのが、勝ち組の典型的な姿でした。今の時代の勝ち組は一生、好きな仕事をしている人です。今は富豪になっても引退せずに働き続けている人が多いですね」

――純粋なビジネス書は苦戦しています。 「2008年のリーマン・ショックまでは外資系企業を手本にしたビジネススキルの本が売れていましたが、今はあまり売れません。ビジネススキルは一生を保障するものではないからです。『やり抜く力』(アンジェラ・ダックワース著、神崎朗子訳、ダイヤモンド社)のように具体的な行動を促す本のほうが人気があります。どんな仕事にも通じる資質への関心が高まっているからです」

――最近、注目している本はありますか。

「『お金2.0』(佐藤航陽著、幻冬舎)と『日本再興戦略』(落合陽一著、幻冬舎)です。両書は、日本人の生き方やお金のとらえ方が変わってきたことが分かる本です。前者は、独自の経済圏の作り方を明らかにしています。ローカルな経済圏を作ってうまくいっているビジネスはたくさんあり、これからは小さな経済圏がたくさんできるのでしょう。後者は、人間は結局、ローカルなことでしか政治に興味を持てないと主張しています。落合氏によると、人間は自分の身近なところなら問題に気づきますが、グローバル化が進む世界で、当事者意識を持てない大きな問題が多くなり、自分とは関係がないと考える人が増えています。グローバル化が必要なビジネスをしている人たちは、おのずと英語を使い、世界に出て行きますが、そうでない多くの人たちにとっては関係がないのです」

――数多くの自己啓発本の中で、どんな本が売れるのでしょうか。

「これは自分に関係する話だと思わせるように、場面や気分を『特定』することが大切です。『嫌われる勇気』(岸見一郎ほか著、ダイヤモンド社)は時代の気分の特定に成功した本といえます。自由を脅かされたら、嫌われてもいいから自由がほしいと思う人は多いでしょう。2011年の東日本大震災後、『きずな』の大切さが唱えられ、SNS(交流サイト)によるネットワークができました。結果として衆人環視のような状態になり、息苦しさを感じる人が増えてきたのです。同書は、そうした時代の気分にうまく合ったのではないでしょうか」

(編集委員 前田裕之)

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