「デジタルで五輪を作り替える」 アリババ集団の野望クラウド基盤に開催都市を制御、プライバシー問題で懸念も

アリババの馬会長(左)はオリンピックパークのパビリオンにIOCのバッハ会長を迎えた(2月10日、江陵市)
アリババの馬会長(左)はオリンピックパークのパビリオンにIOCのバッハ会長を迎えた(2月10日、江陵市)

創業からわずか18年で五輪の最高位スポンサー(TOP)の座をつかんだ中国のアリババ集団。2017年から28年という長期の契約も異例だ。彼らにとって最初の大会となる平昌冬季五輪で、初めてビジョンの一端を公開した。見えてきたのは、開催都市において観客、選手から交通、会場、店舗などすべてをクラウドでつなげるという壮大な試みだ。それは彼らがめざす事業モデルそのものでもある。

平昌五輪の開会式翌日の2月10日。江陵(カンヌン)のオリンピックパークにあるアリババのパビリオンを、国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長が訪れた。迎えたアリババ創業者の馬雲(ジャック・マー)会長は内部の展示を案内したうえで、力強く宣言した。「デジタルの力で、五輪を次のステージに引き上げる。我々には、それができると信じている」

アリババは五輪をどう作り替えようとしているのか。そのためのツールの一つが、彼らが「ETシティーブレイン」と呼ぶシステムだ。街中に張り巡らせたカメラを通じて、車の通行状況をリアルタイムで把握。人工知能(AI)によって変化を予測し、信号などを調整することで渋滞や事故を減らす。

夢物語ではない。すでにアリババの本社がある中国の杭州市で実用化しており、渋滞が約15%減ったほか救急車など緊急車両が目的地に到着する時間も短縮されたという。マカオやマレーシアの首都、クアラルンプールともシステム導入で合意している。

人と車の流れを常時把握して予測

アリババはこれの活用を、五輪の開催都市に働きかける方針だ。最高マーケティング責任者(CMO)の董本洪(クリス・トン)氏は「導入するかどうかは(その国・都市の)政府が決めること」としながらも、「公共サービスと政府向けのサービスはアリババが今後進める大きな方向性」と話す。