財布のひも握る妻6割 「へそくりある」3人に1人
将来、生活資金が足りるかどうか不安だけど、どれくらい蓄えて、どれくらい使っていいのか分からない……。そんな悩みを持ったことはありませんか? 夫婦のお小遣いの内訳や資金形成など、気になる財布事情をのぞいてみました。将来のために貯蓄を始めている人も、これから考える人も、ぜひ参考にしてみてください。
[ジブラルタ生命調べ、調査期間:2017年9月8日(金)~9月12日(火)、対象:20歳~59歳の働く男女2000人]
毎月のお小遣いは平均3.5万円
収入から生活費や貯金などを差し引いた、自分で自由に使えるお金、いわゆる「お小遣い」。皆さんはひと月当たりどのくらい確保していますか? 全国で働く男女2000人に聞いてみました。
「1万円未満」は17.3%、「1万円台」は21.3%、「2万円台」は14.8%、「3万円台」は17.1%となり、3万円台までに7割(合計70.5%)の回答が集まる結果に。5万円以上という人は限られているようです。全体の平均額は3.5万円となりました。
また男女別で集計してみると、意外な結果が明らかになりました。夫婦間で大きな格差が生じていました。
未婚男女と共働き夫婦で男女別に平均お小遣い額を比較してみました。まずは未婚の男女ですが、未婚男性は3.1万円、未婚女性は3.7万円という結果で、女性が少し上回りました。
その一方、既婚の共働き層では、平均額は逆転。しかも、男性は5.3万円、女性は2.5万円と3万円近い格差がありました。夫婦間の収入格差やパワーバランスが影響するのでしょうか。仕事がらみの飲み会回数に起因するものなのでしょうか。共働き夫婦では、女性のお小遣い額が少なくなってしまう傾向にあるようです。
たとえお小遣いの額を増やせなくても、将来お金に困らないよう少しずつ備えておきたいもの。最近は、定年後も収入を得るために、働きながら習い事や資格の勉強を始める人もいるようです。書籍の購入や資格の取得などの自己投資について、お金を費やしているかどうか、費やしている場合はその金額を聞いてみました。
「お金を費やしている」割合は59.9%となりました。6割近くが何らかの自己投資をしています。男女別で見てみると、男性は61.2%、女性は58.6%という結果に。男性のほうが若干多いようです。
自己投資をしている人は、どのくらいの金額を費やしているのでしょうか。集計すると、男性は1.2万円、女性は1.1万円、全体で1.1万円となりました。
では夫婦の場合、この額を決めているのは誰なのでしょうか? 財布のひもを握る人物を調査してみました。
6割の妻が財布のひもを握っている
続いての質問は、夫婦のお財布管理のパワーバランスについて。配偶者がいる人に、お金の使い道の決定権は夫と妻でどちらが強いかを聞きました。
食料品や生活必需品といった普段の買い物については、妻が強い夫婦は63.9%に対し、夫が強い夫婦は12.9%という結果に。妻が日常の財布のひもをしっかり握っているようです。日々の出費については妻が判断する場面が多いのを反映しているかもしれません。
保険や資産運用、節約方針など家計の決定権、および旅行やお小遣いなどの予算といった遊興費の決定権は、夫婦のパワーバランスは拮抗(きっこう)しているものの、妻側が強い夫婦のほうが多い結果になりました。家計の決定権は、夫側が29.6%、妻側が38.3%。遊興費の決定権は、夫側が25.9%、妻側が32.0%でした。
ただし、住宅や車など大きな買い物になると立場が変わります。夫側が強い夫婦のほうが多くなりました。夫が強い夫婦は45.2%、妻が強い夫婦は21.9%という結果です。
では、夫婦の将来の生活資金については、どのように考えているのでしょうか?
5人に4人が「将来の生活資金の不安を感じる」
将来への備えについて、不安をどの程度感じるか聞いてみました。
不安を「非常に感じる」人は43.7%、「やや感じる」人は37.7%となり、不安を感じている人は合計で81.4%となりました。働く男女の5人に4人が、将来の生活資金に対して、不安を感じているようです。
男女別で集計すると、男性よりも女性のほうが不安を感じている様子。男性で不安を感じている人は77.9%、女性は84.8%となりました。
さらに年代別に見ると、20代で不安を感じている人は76.6%、30代では81.2%、40代と50代ではともに83.8%となり、30代、40代と年代が上がるにつれ、将来の生活資金の不安を感じる人が増える傾向が分かりました。
また現在行っている将来への備えについて、「預貯金や資産がなかなか増えない不安」を感じるかと聞いたところ、自分なりに資産を増やす工夫をしていても不安が拭えない現実が明らかになりました。
資産が増えないことを不安視している人は、74.0%。4人に3人が不安を感じていることが分かりました。思うように資産の形成が進まず、年齢が上がるにつれて老後の生活不安が強まる傾向があるようです。貯金をしても、資産運用をしてもなかなか消えない不安。どれくらいの備えがあれば安心できるものなのでしょうか?
資産形成のための準備 みんなの平均額は?
将来のために貯金をしておきたいところですが、どれほどためておけばいいのか分からないのが正直なところ。そこで、資産形成(預貯金や投資など)のための資金を月々どの程度用意できているか聞いてみました。
用意できていないとする「0円」が22.4%、「1万円未満」が6.3%、「1万円~5万円未満」が34.6%となり、「5万円未満」までの累計で63.3%となりました。将来に備えるための「準備資金」の拠出額は月々5万円に満たないという人が多数派のようです。一方、「5万円~10万円未満」19.3%、「10万円~15万円未満」9.3%といった回答も少なくはなく、全体の平均額は8.5万円となりました。
この結果を年代別に見てみると、20代8.1万円、30代7.0万円、40代8.1万円、50代11.0万円となりました。30代でいったん、将来の準備資金として拠出できる額が低くなる傾向にあるようです。
働く男女3人に1人「へそくりがある」
一方で資産運用を行わずに、銀行などの金融機関にお金を預けず自宅にお金を保管する「タンス預金」が増えているといわれています。長引く低金利やマイナンバーなどの影響下、どのくらいの人がタンス預金をしているのでしょうか。
タンス預金を行っているかどうかを聞き、行っている場合の金額も併せて聞いてみたところ、タンス預金を行っている割合は42.2%となりました。ビジネスパーソンの4割強が、銀行などの金融機関に預けずにためているお金があるようです。またタンス預金の額を見ると、100万円以上ためている人が全回答者の1割半(15.0%)もいることが分かりました。コツコツとタンス預金をした結果、100万円の大台に乗った人も少なくないようです。
また、配偶者に内緒でお金をためる「へそくり」についても聞いてみました。
へそくりの有無と、ある場合の金額も併せて聞いたところ、へそくりがある人は33.2%となりました。3人に1人は夫や妻に内緒でためているお金があるとのこと。しかも1割強(12.6%)の人が100万円以上ためているそうです。秘密の預金通帳で残高を確認し、にんまりとほほ笑んでいる人もいるのかもしれません。
年代別に見ると、へそくりがある割合は30代、40代でいったん低下するものの、50代で上昇する傾向が見られました(20代36.7%、30代31.7%、40代28.4%、50代37.1%)。30代、40代は結婚や子どもの誕生、住宅購入などのライフイベントが重なる世代で、内緒のお金をためづらい時期ともいえそうです。50代では100万円以上ためている割合が16.6%になり、6人に1人が大金を持っている様子。人知れず懐を温めている人がいるようです。
ゴールが見えず悩みがちな資産形成。自分に合った答えはなかなか見いだしにくいものですが、悩んだり、迷ったりする気持ちはきっと誰でも同じはず。お財布事情を考慮しながら、まずは自分の年代の平均額を参考に貯金やお小遣いの額を調整してみてはいかがでしょうか。お小遣いの額が少な過ぎて悩んでいる人は、この調査結果を使うと家庭内の稟議(りんぎ)が通りやすくなるかもしれませんよ。
(ライター 華井由利奈)
[nikkei WOMAN Online 2018年2月13日付記事を再構成]
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