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がっつりなのにヘルシー カレーと唐揚げを精進料理で

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NIKKEI STYLE

ヘルシーな食事と言えば、お寺の精進料理。しかし、お寺のお坊さんといえば男性がほとんど。肉なしの食事で物足りなくないのだろうか? 動物性原料を使わずにしっかり食べるためにはいったいどういう工夫を凝らしているのだろうか。臨済宗寺院の住職である友人に、精進レシピを教えてもらうことにした。

お坊さん直伝・精進レシピは「コンニャクと油揚げのカレー」だ。

コンニャクの原料はコンニャク芋、油揚げの原料は大豆と、いずれも植物性の食材。特に大豆製品は、肉に代わる貴重なたんぱく源にもなる。ただし問題は「どうボリュームを出すか」かだ。

ここでお坊さん直伝精進レシピのコツ。

コンニャクを肉に似せるには「とにかくよくいためること」。

コンニャクを「肉もどき」にするには下ごしらえが重要だ。まずコンニャクを金串などでプツプツ刺してところどころ穴をあけ、それから下ゆでする。水分が抜ければ抜けるほど水っぽさが消え弾力が出てくるので、下ゆでの工程は欠かせない。

コンニャクの下処理が済んだら、フライパンでよくいためる。10分でも20分でもいため続けてかまわない。長い時間をかけていためればいためるほど、水分が抜け肉の食感に似てくるからだ。

途中で食べやすい大きさに切った油揚げ、ニンジン、タマネギなどの野菜を加え、いため合わせたら、鍋に入れ、水とともに煮込む。具材に火が通ったらルー登場。せっかくなのでカレールーも動物性原料不使用のものを使ってみよう。とろみがついたら精進カレーの完成だ。

さて、どうだろう。

食べてみると「おぉ肉だ!」…とまではさすがにならないものの、目を閉じれば「あれ、これひょっとして肉かもね」くらいには肉に似たイメージになる。しかもコンニャクはプリッと弾力があって鶏肉みたい、油揚げはペロンとした食感で適度に油分もあるからか豚肉に似ているように思えなくもない。「鶏肉もどき」と「豚肉もどき」のダブル「肉もどき」だからボリューム感もアップ。それでいて、カロリーダウンがかなう。

意外にもとりいれやすい精進レシピだが、他にはこんなアレンジもできる。

精進料理の代表選手である豆腐を使った「豆腐の唐揚げ」なら、動物性原料不使用でありながらがっつり満腹感も得られる。このレシピのコツは「豆腐を冷凍する」ことだ。

まず木綿豆腐1パックを用意し水切りする。キッチンペーパー数枚で包み、上から重しをし一晩おく。翌日、しっかり水が出た豆腐は厚みが3分の2くらいに減り、弾力も増している。次はいよいよ豆腐を凍らせる。ジッパー付き(冷凍)保存袋などに入れ冷凍庫へ。丸1日時間をおいてからとりだすと、色が黄色く変化して、断層のようなものが見える。それを冷凍庫か常温でゆっくり解凍し、中心部まで解けたら水気を絞る。出来上がったものは、おぉー、しみ豆腐だ!

こうして完成した自家製しみ豆腐に衣をつけ揚げていく。唐揚げのレシピはご家庭のいつものものでOK。今回は卵やにんにくを使わずに、しょうゆ、酒、片栗粉、すりおろしショウガだけを使った竜田揚げの衣で揚げてみた。

これは肉だ、まるで肉だ。鶏の唐揚げと遜色ない歯ごたえと味じゃないか。揚げ物なので油は使うが、鶏肉を使うよりもヘルシーで、材料費も安く済む。

精進料理は食材や調理法だけでなく、作法も重要だ。曹洞宗開祖であり永平寺を開いた道元禅師による『典座教訓(てんぞきょうくん)』と『赴粥飯法(ふしゅくはんぽう)』を参考に、仏教における食の作法をもっと詳しく紹介しよう。いずれも修行僧の食について著した本であり、『典座教訓』は台所の総責任者である典座(てんぞ)の心構えや役割、食材や食器の管理について、『赴粥飯法』は給仕の方法やテーブルマナーについての心構えが説かれている。

修行中の食事は「じきじ」と読む。朝食は粥座(しゅくざ)といって名前のとおりかゆを、昼食の斎座(さいざ)は正式なごはんとして煮物などのついた食事をいただき、夜は薬石といって「食事ではなく薬」というたてまえで軽くいただく。江戸時代におおっぴらに肉食ができなかった頃は、肉を薬だといって称して食べた「薬喰い」が知られるが、同じ道理だ。

修行僧の食事には食器の並べ方から食事のいただき方、食器の洗い方、片づけ方にいたるまで実にたくさんの作法がある。音を立てずに食べるだけでなく、黙って食べる、調理では米一粒すら粗末にせずに、食材は余らせず、野菜の皮も捨てずに使う。応量器とよばれる専用の食器で食事をいただき、食べ終わったあとはお湯で洗い、洗った湯は捨てずに草木の水やりなどに使う。さらに器に残った一滴は飲み干す。曹洞宗大本山の永平寺では野菜の皮や種も捨てずにダシをとるのに利用し、カレーにも野菜の切れはし使うという。

『典座教訓』には「老心」つまり親の心をもって、親が我が子を思うような慈しみ深い心で食事を作るという心がけや、「三徳六味」についても記されている。この六味とは「苦(にがい)・酸(すっぱい)・甘(あまい)・辛(からい)・塩(しおからい)」の五味に「淡」つまり淡味を加えたもの。食材の持ち味をそこなわないように薄味に調味することで、素材そのものが持つ淡い味わいを大切にするということが説かれる。

食べ物や水を粗末にせずに、心をこめて、素材の持ち味をいかし食を調える。お坊さんの食作法や精進レシピには、私たちが普段の食事にも応用できる知恵がたくさん詰まっているのだ。

とはいえ、お坊さんも時には羽目を外す。

臨済宗では修行のなかでうどんが登場する機会がいくつかある。修行僧にとって食事は修行のためのエネルギー補給の場であり、食事をするのも修行のひとつといえる。そのため、宗派によっても異なるものの、食の作法にも様々な決まり事がある。

たとえば臨済宗を含む禅宗では、食事の際に音をたてて食べるのはご法度とされている。しかし唯一この作法から解放される機会が、信者から寄進されたうどんをふるまう「うどん供養」だ。

「うどんの何が素晴らしいかって、盛大に音を立てていいってことなんだよ」とは先ほどの友人の談だが、うどんは普段の食事と意味合いが違う特別な食べ物。というのも「うどん供養」では、うどんをすする音がお経と同じと考えられているからだ。

修行の一環だからこそ、一心にうどんを食べる。この日ばかりは盛大に音を立て、おなかいっぱいになるまでうどんを食べる。食べ方は、おけに入った釜あげうどんを四人一組で囲み、一人ずつ箸をつけていく決まりだというが四国の「たらいうどん」みたいなものだろうか。想像すると話を聞いた私までなんだかうどんが食べたくなってくる。

調べてみると、他の寺でも修行の食事にうどんが登場することがあるようだ。「四九日(しくにち)」と呼ばれる、四と九のつく日の斎座(昼食)にはうどんを食べることになっている寺もある。普段の食事とは違い、うどんはいくら食べてもいいことになっているし、修行の疲れも手伝いこの日のうどんはそれはおいしく感じられ、たらふく食べてしまうのだそう。

現代人は飽食だ。あまりにもおいしいものを食べすぎて、その結果体調を崩す人だって少なくない。そんなときは一度立ち止まり、お坊さんの食を参考に、食を見なおしてみてはどうだろう。「たまの満腹」も含めて。

(日本の旅ライター 吉野りり花)

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