「脂肪と聞くと、脂肪分の多い肉などを想像しますが、中性脂肪は糖質によって増えます。糖質はカラダの中に入るとブドウ糖となり、小腸で吸収され、血液へと送られます。すると血糖値が急上昇し、血糖値を下げるためにインスリンというホルモンが多量に分泌されます。そして、血液中の糖は中性脂肪となり、肝臓や脂肪細胞に蓄積されるのです」(栗原さん)
「中性脂肪を下げるには、血糖値が急上昇しないような食事にする必要があります。このことから分かるように、おつまみはもちろん、普段の食事の糖質を減らすことが大切なのです」(栗原さん)
アルコール、そして油ギッシュな肉より、まずは糖質を制限することが大事だったとは! 私も糖質のとり過ぎが肥満につながることは知っていたが、中性脂肪とこんなに密接な関係だったなんて知らなかった。
実際、糖質制限をした場合、血糖値はもちろん、中性脂肪値も下がったという研究報告もある(N Engl J Med. 2008;359:229-241.)。この研究結果では、脂質を控える「カロリー制限食」よりも、糖質だけ控えてたんぱく質、脂質、カロリーの制限がない「糖質制限食」のほうが中性脂肪値が下がっている。
糖質は「ちょいオフ」でいい
しかし内臓にしっかりついた中性脂肪を減らすとなると、かなりハードな糖質制限になるのだろうか……。すると、栗原さんからこんな答えが返ってきた。
「糖質は『ちょいオフ』でいいんです。極端な糖質制限にはリスクがある可能性があるうえに、続けにくい。リバウンドの危険もあります。いつもより意識して少し減らすだけで十分です。日本人の男性なら1日の糖質摂取量はたいてい300g以上です[注1]。目安としてこれを250g程度まで減らしましょう。女性ならば200g程度にしてください。これなら、ごはんの盛りを7、8割と軽めにするだけで実現できます」(栗原さん)。なお、実際には400g以上とっている人も少なくないので、そういう人は意識的にもう少し減らすとよい。
[注1] 2015年に栗原さんとサッポロビールが実施した「食習慣と糖に関する20~60代男女1000人の実態調査」では、1日に摂取していた糖質量の平均は、男性309g、女性332g。
栗原さんからそう言っていただいてホッとした。このくらいなら、ズボラな私でもなんとか実践できそうだ。

減らすにあたって、食品に含まれる糖質量も大まかに把握しておくといいだろう。ごはんは、茶碗1杯を150gとすると、含まれる糖質量は55.2g。3食食ベると合計165.6gとなる。主食だけでなく、おかずやおつまみ、調味料にも糖質は含まれているので、それを考えるとあっという間に300gは超える。
ポテトサラダなどは、「サラダ」とあるので体に悪くなさそうと思いがちだが、ジャガイモは1個(150g)当たり24.5gと、糖質を多く含んでいる。このほか、コーン、カボチャ、サツマイモなども糖質が多いので注意したい。
主食やおかず・おつまみだけ気にしていればいいわけではない。「糖質は、食べ物だけでなく果汁を使った飲み物にもたっぷり含まれていますので、これにも注意してください」(栗原さん)。野菜不足を補うために、野菜ジュースを飲んでいる人も多いと思うが、野菜ジュースには果物が入っているものが多く、糖質が意外に多いのでこれも注意が必要だ。200mLパックの野菜ジュースは、商品によるがたいてい14~20g程度の糖質が含まれている。
ちなみに、ビジネスパーソンが慌てて食べる昼食などでよくある「おにぎり2個と野菜ジュースという組み合わせ」は、それだけで80~100g程度の糖質量になる。