米テキサス州で不動産投資 物件は東京に比べ割安世界のどこに投資する?(15)海外不動産

2018/2/23
テキサスというと荒野のイメージがあるが、実際は違うようだ=PIXTA
テキサスというと荒野のイメージがあるが、実際は違うようだ=PIXTA

海外不動産投資の対象国を考えるに当たり、まず米国を考える人は多い。同国には広く整備された不動産市場があり、人口は年0.7%程度のペースで増加、経済成長率は安定的に2%前後で推移しているからだ。加えて米国では建物をリフォームして長く使い続ける風土があり、取得時に比べ価値が高まっている物件も少なくない。節税対象として検討する個人もいる。ただし、物件選定や節税の手順は単純ではなく、十分な吟味が必要になる。

ダラスの上昇率はNYをも抜く

カリフォルニア州、テキサス州、ハワイ……。米国不動産投資を手掛ける日本の個人は多い。「経済規模が大きく拡大傾向にあり、不動産市場が堅調」とみる人が多いためだ。築50年以上経過していても付加価値の高い物件が多いという点も、個人の投資妙味につながっている。

最近、日本の高所得者層の一部で関心が高まっているのは、テキサス州での不動産投資だ。日本で「テキサス」というと、縄を持ったカウボーイや荒涼とした原野を思い浮かべてしまうが、実際は主要都市のヒューストン、ダラス、州都オースティン周辺には広い区画の戸建てが整然と立ち並んでいる。テキサス州は州法人税を非課税とするなど、企業誘致のための税優遇を推し進めている。北米トヨタは2017年、本社機能をカリフォルニア州からテキサス州に移転した。

では、実際の住宅価格はどうなっているのか。米国内の住宅価格の動きを見る際によく使われる「S&Pケース・シラー住宅価格指数」で過去3年の上昇率を全米20都市圏について調べてみると、ダラスは8.1%で、シアトル(10.9%)、ポートランド(9.4%)、デンバー(8.8%)、サンフランシスコ(8.5%)に次いで5番目の上昇率だ(18年2月21日時点)。かのロサンゼルス(6.2%)、ニューヨーク(3.9%)よりも高い。

上昇率は高い一方、単位面積当たりの物件価格は例えば東京23区などより安いようだ。北米の不動産投資事情に詳しいアメリカンファンディング(東京・中央)の角内創社長は、「一概には言えないものの、延べ床面積200~300平方メートルの物件を2000万~3000万円程度で取得できる。多くの外資系企業の流入により、高級住居のニーズも高まっており、値上がり益も期待しやすい」と話す。

節税効果への期待は大きいが…

テキサス州の不動産には日本人投資家の熱い視線も(奈辺卓美さんが所有する同州のアパート)

日本の不動産投資家にとって、米国での不動産投資には節税効果があるとも言われる。一般に米国など先進国の不動産は、価格全体に占める建物の割合が高いのが特徴だ。例えば日本の不動産の価格割合が土地:建物=5:5ならば、海外の不動産は同2:8というイメージだ。海外は建物の「平均寿命」が長めである上、減価償却費を多く計上できる傾向にあり、高所得者層であるほど、米国などの中古不動産を購入することで所得税の負担を軽減できるといわれる。

ただし、この点については「会計検査院が、海外にある中古建物の減価償却費を用いた節税額を問題視している」(三島浩光税理士)との指摘もある。今後、海外不動産の利益課税について制度見直しが進む可能性もあり、今の節税法が長く続けられるとは限らない。

また日本人にとっては意外だが、米国で不動産投資をする場合は、子供世代に残すことを考えない方が得策、との見方も根強い。米国では不動産の所有者が亡くなった場合、「プロベート」と呼ばれる遺産整理手続きが必要になる。期間中、遺産は凍結され、自由に処分ができないだけでなく、弁護士費用などもかかる。子供に引き継がせようと思っても、相続を受ける側は物件を買った親ほど思い入れがない可能性もある。「海外不動産を買う際には相続時まで考えておかないと、遺族らに無用な負担をかける場合がある」(三島税理士)という点に留意したい。

海外駐在が長く、自分の英語力や人脈に自信のある会社員もいるだろう。しかし米国は契約社会であるため、「書類の隅々まで目を通し、条件を理解しておくほどの英語運用力が必要」(不動産投資家の奈辺卓美さん)との声が多い。税務申告の面でも、日本と米国双方の事情に精通する専門家を立てた方が良いという。不動産営業マンに乗せられて衝動買いをするのは禁物なのだ。信頼できる業者を確保できているか、必要に応じ英語でコミュニケーションでき、場合によっては現地へ飛べるか、明確な投資・納税計画はあるか、などの事前点検が必要だろう。

(マネー報道部 南毅)

近づくキャッシュレス社会
ビジネスパーソンの住まいと暮らし