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寂れた城下町が復活 若者が集う犬山・街おこし秘話

水津陽子のちょっとディープ旅

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NIKKEI STYLE

シャッターを下ろした店舗に人通りもまばらな表通り、訪れる観光客も中高年者ばかり……。そんな城下町が近年、若者や女性の人気を集め、大復活を遂げました。国宝・犬山城を擁する愛知県犬山市は、城下町を復活させた独自の街づくり手法が注目されています。今回は街づくり秘話とともに城下町の魅力を紹介します。

室町時代に織田信長の叔父、織田信康が築いたと伝えられる犬山城は、現存する日本最古の木造天守を有する国宝の城。木曽川の南岸、標高80メートルの城山に築かれ、優美な城郭は城下町と一体となった総構えの構造で、別名白帝城と呼ばれています。

この犬山城へ真っすぐ延びる約650メートルの本町通りには現在、60店以上の店舗が立ち並び、多くの若者、女性でにぎわっています。しかし2000年代前半、本町通りで常時営業する店舗はわずか15店ほどでした。何がきっかけとなって今のにぎわいが生まれたのでしょうか。

倍返し神社、ハートの絵馬で人気に火

犬山城が立つ城山の麓にある三光稲荷神社は、犬山城主・成瀬家の守護神でした。もともとは現在とは別の場所「三狐寺山」にあり、50年ほど前に今の地に移転してきました。最近でこそ多くの参拝客を集めていますが、つい数年前までは地元の人にもあまり知られておらず、訪れる人もほとんどいませんでした。

木造の神社建築を維持するには定期的な補修が必要で、膨大な費用がかかります。参拝者や氏子がいないと神社の維持もままならなくなります。そんな神社の現状をなんとかしようと宮司の水谷守さんが考案したのが、ピンクのハート形の絵馬でした。

発想のヒントは以前、水谷さんが勤めていた別の神社で巫女(みこ)のアルバイトをしていた女子高生の「どうしておみくじの紙はどれも白色なんですか?ピンク色とかなら結んだときキレイなのに」という言葉。神社のおみくじが白いのは主にコストが理由のようですが、水谷さんはその言葉がずっと心に残っていたといいます。

三光稲荷神社の中には、良縁に御利益があるとされる「姫亀神社」があります。11年3月に三光稲荷神社の宮司となった水谷さんは、両面ピンクにこだわったハート形の絵馬を特注し、12年1月から姫亀神社に置きました。当時はまだ珍しい絵馬でしたが、すぐにブレークしたわけではありませんでした。

きっかけは、「倍返しだ!」で大ヒットした13年7月放映のTVドラマ「半沢直樹」。三光稲荷神社には、池の御神水でお金を洗うと何倍にもなって返ってくると信じられている「銭洗い池」があり、ドラマとは直接の関係はなかったものの、「倍返し神社」と話題になりました。参拝客は前年から約2割増え、神社は徐々に知られる存在となっていきました。

地域を巻き込む地道な活動で観光客が年々増加

そして16年7月ごろ、水谷さんは商店街の人などから「最近、神社はインスタ(インスタグラム)ですごい人気ですね」と声を掛けられるようになりました。インスタを知らなかった水谷さんは最初、何のことか分からなかったといいますが、そのころになると神社は若い女性であふれていました。神社の画像は多くのSNS(交流サイト)に投稿され、観光情報メディアのスナップレイスによる17年の「SNS映えスポットランキング」では「Cool!(おしゃれ・フォトジェニック)部門」で全国3位となっています。

同じころ、城下町では昭和横丁の「茶処くらや」が、カラフルでかわいらしい「恋小町だんご」を考案。本町通りには新しい店が続々とオープンするようになり、城下町散策の魅力が広く知られ、若者や女性が集まる観光地へと変貌しました。歩行者天国開催日の歩行者数は、12年は1日平均約1700人でしたが、17年には約4500人に増えています。

この裏には地道な街づくりの活動もありました。その中心となったのは、05年に旅行会社から犬山市観光協会に入った後藤真司さん。江戸時代に描かれた城下絵図と、現代の地図がほぼ一致するという犬山城下町の価値に目を向け、シャッター街となっていた本町通りで城下町復活に奔走しました。

07年には、名鉄犬山線を運行する名古屋鉄道と犬山市が観光タイアップキャンペーンをスタート。五平餅や田楽などご当地の串料理をアピールする「串グルメ」、お笑い芸人が車夫を務める「お笑い人力車」など、ユニークなコラボ企画を次々打ち出し、徐々に観光客が戻ってくるようになりました。

09年には本町通りの電線が地中化され、すっきりした街並みに江戸情緒がより際立つようになりました。数々の取り組みで、犬山城の入場者数は11年連続で増加。過去最低だった03年の約19万人から、17年は57万人まで増えました。城下町のにぎわいはそれを上回るものになっています。

散策で立ち寄りたいレトロなカフェ

本町通りには飲食や雑貨、土産物などの店舗の他、江戸期の建築様式を残す旧磯部家住宅や、4月に行われる犬山祭の車山(やま)からくりを展示する「からくり展示館」などの観光施設も充実。さらに本町通りの周辺には、魅力的なカフェが点在しています。

寺内通りには看板猫の「ボタン」がいるカフェ「珈琲ボタン」があります。古い日本家屋を改装したレトロな店内はテーブル席の他、本棚を備えたカウンター席があり、一人でもゆっくり過ごせます。自家焙煎(ばいせん)のコーヒーや自家製のチーズケーキの他、モーニングやランチなどのカフェメニューも充実。

オーナーの大前良平さん、和恵さん夫妻は関西出身。二人の出会いはインドでした。和恵さんがふらりと訪れた犬山を気に入って07年に移住。その後、良平さんも移り住み、いつかカフェを開きたいと勉強していたところ、現在の場所で営業していたカフェが閉店することになり、オーナーさんから譲り受けました。

珈琲ボタンは17年4月にオープン。6月には新たに黒猫のポポが看板猫に加わりました。ボタンたちはお散歩に出かけて会えないこともありますが、ゆっくりと街歩きを楽しみつつ、休憩や食事で立ち寄ってみたいもの。

犬山の春は、ユネスコ無形文化遺産の「犬山祭」(今年は4月7日・8日)、お城と桜を楽しむ「犬山城遊覧船」(同3月30日~4月8日)など見どころがいっぱいです。市内には、明治時代の歴史的建物などを集めた歴史テーマパーク「博物館明治村」、約70種のサルと触れ合える「日本モンキーセンター」など観光スポットも集積しています。名古屋からは、名鉄犬山線犬山駅へ快速特急で約25分。一足延ばして訪れてみませんか。

水津陽子
 合同会社フォーティR&C代表。経営コンサルタント。地域資源を生かした観光や地域ブランドづくり、地域活性化・まちづくりに関する講演、コンサルティング、調査研究などを行う。

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