中古マンションの「情報の宝庫」 総会議事録と管理人不動産コンサルタント 田中歩

写真はイメージ=PIXTA
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「中古マンションは管理を買え」とよくいわれます。だからこそ、中古マンションを購入する以上はそのマンションが抱える課題や問題、それらに対する住人らの議論や取り組みを事前に知っておきたいものです。そこで筆者は、中古マンションの契約を結ぶ前にそのマンションの総会議事録を閲覧することを勧めます。

修繕積立金の値上げの背景など記載

中古マンションを購入する際には不動産業者が重要事項説明をします。しかし、管理規約(マンションの管理の詳細なルール)や使用細則(マンションの使用上の詳細なルール)の一部、管理費や修繕積立金の額や滞納の有無、修繕履歴の有無といったごく一部の情報しか説明されないことがほとんどです。

一方、マンションの所有者で構成する管理組合は少なくとも年に1回、総会を開かなければなりません。総会では規約の変更や理事の選任、共用部分の維持管理や修繕に関することなどを議論し、決議します。また、管理組合の決算や事業内容についての報告なども行われます。総会の議事内容は、書面または電磁的記録で議事録を作成しなければなりません。さらに、管理組合は区分所有者のほかマンションの購入予定者など利害関係がある人の請求があれば、議事録を閲覧させなければなりません。

管理費などの滞納者への対応もわかる

総会議事録の内容はマンションによって様々です。例えば機械式駐車場の使用料の一部を修繕積立金に振り分ける決議があった場合、修繕費の増加や駐車場利用者の減少といった背景が記されています。防犯カメラの設置について決議があった際は「実際に空き巣の被害があった」などと設置に至った経緯が記載されています。また、管理費や修繕積立金の滞納者がいる場合、滞納者に対する督促や法的手続きの状況などが記されています。

竣工から10年を経過したマンションになると、建物の劣化の状況を診断する調査に関する議案が見受けられるようになります。劣化を診断する調査を皮切りに、数年の間で「いつ、どの程度の大規模修繕をすべきなのか」「どの業者にいくらで修繕を頼むのか」「そのために修繕積立金を値上げすべきなのか」といった議論が展開され、議事録にその経緯が記されていきます。

このように総会議事録を数期分読んでみると、管理組合の活動の履歴が手に取るようにわかるのです。

少なくとも3期分は確認

ある程度気に入った中古マンションが見つかったら、不動産業者に「総会議事録を見せてほしい」と頼んでみるのが一番です。不動産業者の手元にない場合は売り主が持っていますので、不動産業者を通じて入手するとよいでしょう。

売り主によっては総会議事録を捨ててしまっていることもあります。その場合は不動産業者に依頼して、マンション管理会社に閲覧かコピーを申請することになります。ただし、買うかどうかはっきりしない状態だと入手できない場合があるので、ある程度購入の意志が固まっている状態で依頼しましょう。

議事録を見せてもらえるならば少なくとも3期分ぐらいは確認しておきたいものです。そのマンションの活動の流れが把握できるからです。なお、総会議事録の閲覧は許可してもコピーはさせないマンションもあります。その場合は不動産業者と一緒に管理人室などに直接赴いて閲覧することになります。

管理人からの情報、議事録以上に有用

管理人室に議事録を閲覧しにいくことになっても、マイナスとは限らずかえって様々な情報が入手できることがあります。

先日、筆者が取引の仲介をした中古マンションは議事録の閲覧しか許可していなかったため、買い主とともに管理人室に議事録を見せてもらいに行くことになりました。10年近く管理人を務めている人だったこともあり、過去の経緯をよく知っており、マンションの管理に対する管理組合の取り組みの姿勢や住人たちの暮らし方など議事録以上の情報を入手できました。また、購入する部屋の上下左右に住んでいる人がどんな人なのか、騒音の問題などで過去にトラブルがなかったかなどについても話を聞くことができました。買い主も納得のうえで契約に臨むことができたようです。

このように総会議事録を読み込むと、そのマンションの管理活動の状況が把握できます。これから住む予定のマンションで自らも管理組合の一員として活動することになるわけですから、ぜひ確認してもらいたいと思います。

田中歩
1991年三菱信託銀行(現・三菱UFJ信託銀行)入行。企業不動産・相続不動産コンサルティングなどを切り口に不動産売買・活用・ファイナンスなどの業務に17年間従事。その後独立し、ライフシミュレーション付き住宅購入サポート、ホームインスペクション(住宅診断)付き住宅売買コンサルティング仲介などを提供。2014年11月から個人向け不動産コンサルティング・ホームインスペクションなどのサービスを提供する「さくら事務所」に参画。
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