マネー研究所

投資道場

分散が魅力の海外不動産投資 人脈づくりが成功の鍵 世界のどこに投資する?(14)海外不動産

2018/2/15

写真はイメージ=123RF

 資産の海外分散を考える際、不動産は選択肢の一つだ。日本の不動産市況が東京五輪を境に低迷する「2020年問題」も懸念されるなか、リスク分散の手段として海外不動産投資を検討するサラリーマンもいる。安定した賃料収入(インカムゲイン)に加え、物件によっては値上がり益(キャピタルゲイン)も期待できる。ただし現地不動産固有の事情に関する知識が乏しいと、手痛い損失を被りかねない。そこで今回から、個人投資家や専門家の話を交えつつ、不動産運用の海外分散の可能性を探ってみたい。

■米国不動産投資の成功者も「狙いは分散」

 「米国の不動産投資で、リスク分散しながら表面利回り7~8%前後を実現している」。不動産投資家の奈辺卓美さん(ビジネスネーム)は満足した表情でこう語る。

 もともと奈辺さんはサラリーマン大家。外資系企業に勤める傍ら、国内外の不動産投資実績を積み上げてきた。15年に、不動産投資による実質年間収入が会社員の年収の2倍に達したのを機に退職。海外では主に、米国のカリフォルニア州、テキサス州の集合住宅、戸建てに投資している。総資産額30億円のうち約3割が米国だという。

 海外不動産投資に踏み切った背景には「日本の人口は減少し、地価も下落が鮮明になる。分散を図らなければいけない」との思いがある。そのため国内も東京だけでなく札幌などの中核都市で物件に投資。さらにマレーシアやフィリピンなどアジア新興国の物件にも投資し、時には建物の完成が遅れるなどの苦い経験もした。近年、海外は米国に的を絞って投資するようにした。日米で信頼できる不動産業者と手を組むことに成功し、安定した利回りを確保できるようになったからだ。「不動産投資の『師匠』ともいうべき個人投資家から多くを学びながら、人脈を広げていった」と振り返る。

 奈辺さんのように、国内の不動産投資だけでなく、海外の不動産投資に関心を寄せる個人が増えつつある。彼らが口をそろえて言うのは「卵を一つのカゴに盛るな」という米欧の格言だ。国内の不動産のみに集中投資していては、日本経済が変調を来した場合に、大きな損失を被る可能性がある。東京五輪以降に不動産市況が崩れる可能性も否定的できない。そこで海外も含めた不動産運用が必要、と考えているわけだ。

■知識、専門家人脈、物件選びの順で

海外では人口増を背景に不動産建設が進む地域も(マレーシアのジョホールバル)

 ただし国内在住の投資家にとって、海外不動産投資を始めるには十分な注意も必要だ。まず、信頼できる業者を見つけることが最も重要。住宅情報が日本に比べ未整備な新興国では、「エージェント」と呼ばれる海外不動産専門の仲介業者が渡り歩いている。ただし「日本語が話せるから安心」という程度で信用するのは禁物だ。入金後に音信不通となるエージェントも少なくないという。先進国の米国ですら「管理が十分でない物件を売りつける業者がいる」との声がある。

 また納税に関し、最低限の知識も必要だ。海外不動産投資の事情に詳しい公認会計士の永峰潤氏は、「買ったものを売却すれば差益に課税されるし、賃貸に回せば賃料に税がかかる。海外不動産を資産として子供に残す場合も、納税資金に困惑する個人が目立つ」と指摘する。最近は企業のグローバル化が進み、自らの英語力に自信を持つ転勤族も増えてきたが、過信は禁物。「専門知識が必要な税務・会計処理については、日本と現地双方で専門家を確保しておく必要性がある」と助言している。

 では、どんな人が海外不動産投資に向いているのか。米国やフィリピンで不動産投資事業経験のある、さくら事務所の長嶋修会長は「ある程度英語で交渉でき、何か現地不動産にトラブルが起きたら、気軽に現地へ向かえる行動派」と指摘する。現地に出向くのがおっくうな人は、海外の個別不動産投資には不向き、との声は他でもよく聞く。

 一方、これらの条件をクリアするならば、日本より妙味の多い不動産投資ができる可能性がある。関心のある個人はまず海外不動産投資の勉強を積み、海外不動産物件や税務に精通する人脈を形成した上で、最後に物件選びをする、という段階を踏んでチャレンジしたい。

(マネー報道部 南毅)

マネー研究所新着記事

ALL CHANNEL