ファイストス、イースター島、マヤ 謎の古代文字3選科学で迫る世界のミステリー

日経ナショナル ジオグラフィック社

イースター島にまつわるもう一つの謎が、ロンゴロンゴと呼ばれる未解読の文字だ。ロンゴロンゴ文字が書かれた、木や石でできた平らな板が発見されている。その奇妙な象形文字は左から右に書かれ、次の行の文字は倒立した状態で右から左に書かれている。モアイ像と同じく、この文字についても謎の解明は進んでいない。

ロンゴロンゴが刻まれた杖の一部(チリ国立自然史博物館蔵)

マヤの象形文字

マヤも、その興亡については謎が多く、研究者たちを悩ませている文明の一つだ。マヤの文書記録の一部が見つかったメキシコの古代都市パレンケは、紀元200年から900年に繁栄した、石造りの神殿と広場からなる壮大な都市だ。何百年もの間、ジャングルに埋没していた建物から文字が発見されており、中でも階段状の「碑文の神殿」には、一面に象形文字が刻まれている。

パレンケにある碑文の神殿。パレンケで発見された象形文字の解読は現在も続けられている(写真:Nikada/iStockphoto)

だが、初めてヨーロッパ人がユカタン半島に上陸した16世紀、その文字を読むことのできる人はすでに現地にも残っていなかった。文字の解読が試みられたが、当時の技量では何の成果も得られなかった。1780年代には、スペイン王の命でアントニオ・デル・リオ大佐が、パレンケの宮殿の壁を壊して中に入り、調査をしている。その後、研究者が碑文の神殿の中にパカル王の墓を発見し、内部の調査を開始、複雑な象形文字の意味が少しずつ明らかになり始めた。

1970年代になると、パレンケの調査をしていた考古学者が苦労の末、歴代の王のリストを解読した。現在ではパレンケの象形文字の90パーセントが解読されており、音節を表す文字と、意味を表す文字が混在する複雑な文字体系の存在が分かっている。文書の内容から、マヤには好戦的な人物が多かったことも判明した。マヤ文明は内部の抗争によって自滅したのかもしれない。

パレンケ、十字架の神殿に彫られたレリーフ。左右に象形文字が並んでいる(写真:Takayuki Ueda)

[書籍『今の科学でここまでわかった 世界の謎99』を再構成]

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