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法規制から知る仮想通貨 役割は決済、交換業は登録制 利用者保護の仕組みづくりに課題

2018/2/18

記者会見するコインチェックの和田晃一良社長(左)。同社は「みなし交換業者」だ(1月26日)

 580億円相当が交換事業者コインチェックから不正流出し、仮想通貨を巡るリスクが改めて浮き彫りになりました。2014年のマウントゴックス破綻を思い出した人も多いでしょう。仮想通貨に対する法規制の現状を見ながら問題点を考えていきます。

 仮想通貨はここ数年、価格が高騰して多額の利益を得る人が続出したことで、投機商品としての認知度が急速に高まりました。その半面、仮想通貨についての理解はさほど進んではいません。

■国内での法規制、17年4月から

 ブロックチェーンなど難解な技術用語がネックでしたが、法的なルールがつい1年ほど前まで無かったのも要因です。日本で仮想通貨が規制対象となったのは2017年4月、改正資金決済法が施行されてからです。

 法律に基づいて仮想通貨を考えてみます(表)。まず定義としては、不特定多数を相手に代金支払いに使える、インターネットを通じて移転できる、といった性質が挙げられます。

 仮想通貨が登場した当初、買い物に使えて、世界中どこへでも瞬時に低コストで送金できる点が革新的とされました。投機対象というよりは決済通貨としての役割です。これを法律も規定しています。

 価値の表示法にも特性があります。例えばビットコインはBTCという独自の単位により価値を表します。円などの法定通貨に換算することは可能ですが、そのときどきの交換レートに応じて換算額は変動し、利益にも損失にもなります。

 この点は電子マネーと対照的です。貨幣を伴わない電子的なお金という点で仮想通貨と電子マネーは同類ですが、スイカなどの電子マネーはあくまで円建ての資産です。1万円を入金すれば使わない限り価値は1万円のままです。

■円などとの交換を扱う会社に法律適用

 電子マネーのような発行者が必ずしもいないことも仮想通貨の特性です。例えばビットコインは一定のルールの下、マイニング(採掘)と呼ぶ計算作業に複数人が参加して供給されています。

 法律もこの点を考慮しています。発行者を規制するわけにはいかないので、仮想通貨と円などの交換を扱う会社を適用対象としました。その交換業者に対しては顧客財産の分別管理や定期的な外部監査などを義務付けています。

■交換業、金融庁登録は16社 「みなし」も16社

 改正法が施行された17年4月以降は原則として金融庁から登録を受けた会社だけが交換業を営めることとしました。登録済みの会社は2月初め時点で16社あります。

 例外もあります。法施行前から運営していた会社は登録を申請していれば審査中は、登録が認められなくても事業を続けられます。みなし交換業者と呼ばれ、16社あります。コインチェックもその1社です。みなし業者にも法律上、登録業者と同様の義務が課されます。ただ、金融庁はこれらに対する審査に数カ月かけており、いつ終わるのか明示していません。

 登録が認められていないだけで安全対策などに不備があるとは決めつけられませんが、利用者は注意を払う必要があります。仮想通貨自体まだ誕生から間もなく、利用者保護の仕組みづくりは課題を抱えているのが現状です。

[日本経済新聞朝刊2018年2月10日付]

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