小型とテキパキ液晶が魅力 AQUOS R compact戸田覚のPC進化論

日経トレンディネット

新登場のAQUOS R compactは、4.9型液晶に狭額縁というコンパクトなモデル
新登場のAQUOS R compactは、4.9型液晶に狭額縁というコンパクトなモデル
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スマートフォン(スマホ)業界では、シャープが徐々に元気を取り戻しているようだ。SIMフリーの「AQUOS sense lite」が好調で、販売店のランキングで1位になっていることもある。上位モデルの「AQUOS R」もよく売れているという。今回は、そのシャープが投入したコンパクトモデル「AQUOS R compact」(au版)をレビューする。

レビューするのはau版だが、実はソフトバンク版、SIMフリー版のAQUOS R compactが登場したこともちょっと気になっている。これまでキャリア(通信事業者)版とSIMフリー版がほぼ同じ仕様で販売されることが少なかっただけに、スマホの販売方法が変わりつつあるのが興味深いのだ。

コンパクトなボディーで持ちやすい

AQUOS R compactは、その名の通りコンパクトなことが最大の魅力。4.9型液晶と狭額縁によって、とにかく小さくて持ちやすいことを目指した端末だ。コンパクトなモデルはフィーチャーフォンの時代からたびたび登場しているが、それほどヒットした記憶がない。やはり、大は小を兼ねるということだろう。ただ、さすがに5.5~6型の端末は大きくなりすぎた感もあり、いまだに「iPhone SE」が最適なサイズだというユーザーも多い。

背面のデザインは非常にシンプルで、これといった特徴はない

最近は、大きめの端末が普通になってきたので、AQUOS R compactの実機を目の前にすると、とても小さく感じる。それでも「iPhone SE」と比較すると長さが約1cm、幅が約8mmほど大きいのだが、iPhone SEが4型液晶なのに対し、AQUOS R compactは4.9型だ。

手にしてみるととても持ちやすく感じる半面、厚みが気になるかもしれない。この程度の厚さなら逆に持ちやすい気もしているのだが、どうしてもスタイリッシュではないように思えてしまうのだ。僕個人としては不格好だとは思わないが、実物を手にしたとき、「写真で想像していたより厚いな」とは感じた。

5.2型液晶の「HUAWEI P9」と比べると、縦が短い分より小さく感じる

AQUOSシリーズ共通のデザインだが、AQUOS R compactもボディーの側面が微妙に角張っている。これは、机の上などに置いた際のつかみやすさを考慮しているとのことで、確かに手に取りやすい。

この小さなボディーは、スマホを常にポケットに入れて持ち歩きたい人や、片手でフリック入力したい人には最適と言えるだろう。もちろん画面は大きいほうが見やすいのだが、大きめのスマホの選択肢はいくらでもあるのに対して、コンパクトモデルのライバルは多くない。

厚さ7.7mmの「iPhone X」と比較するとかなり厚いが、手になじむとも言える
本体の側面は山形に膨らんでいる。これでつかみ取りやすくしているのだ

高速スクロールが気持ちいい

AQUOS R compactの液晶の解像度は2032×1080ドットと、本体サイズの割には高いと言える。シャープ製のIGZOだけに画質もいいのだが、iPhone Xの有機ELと比べるとやや暗く、特に斜め横から見たときの差が非常に大きい。AQUOS R compactしか使っていなければ気にならないところだが、両モデルを比べるとがっかりする。もはや液晶では超えられない部分なのだろう。

なお、AQUOS R compactが搭載しているのは「ハイスピードIGZO」と呼ばれる液晶で、一般的な液晶(60Hz)に比べると周波数が2倍になっている。画面を高速にスクロールしたときに、コンテンツが指の動きに付いてくるのが気持ちいい。

AQUOS R compactの前モデルでは、3辺狭額縁を実現するために前面カメラを画面の下に配置していたのだが、今回は画面に切り欠きを付けて上に配置した。これは、自撮りするときに、アプリによって上下が逆になってしまうのを防ぐためとのこと。もちろん、カメラは上にあるほうが使い勝手もいい。意見が分かれるところかもしれないが、僕としては慣れてしまえば切り欠きは気にならないと思う。

左のiPhone Xと比べると、画面がやや暗く感じる

背面カメラの画質は十分だが迫力に欠ける

背面カメラの画素数は1640万画素で、実際の見た目に近い映像表現が可能な新画素エンジンを搭載しているという。iPhone Xと撮り比べてみたが、十分に満足できる画質だと思う。暗いシーンを撮影したときに、AQUOS R compactは明るい部分がやや白飛びする傾向があるが、さほど気にならない。

実際に使ってみて弱点だと思ったのは、画質よりもサイズだ。このところ5.5型以上の端末ばかりを使っていたせいで、4.9型での表示では写真が小さくて迫力がないように感じるのだ。言うまでもなく、コンパクトさとのトレードオフになるのだが、4対3の写真を表示すると、ずいぶん小さく感じる。

暗い部屋で撮影するとAQUOS R compact(左)のほうが美しいが、やや白飛びが気になる

処理性能は十分、おサイフケータイにも対応

設定メニューなども分かりやすく工夫されている

AQUOS R compactはコンパクトさが最大の特徴だが、「AQUOS R」シリーズに属する1台だけにスペックも上々だ。ベンチマークでは、最速クラスとは言えないものの十分なスコアが出た。さらに、急速充電や防じん・防水に対応するなど、マニアが求める性能もクリアしている。

また、多くのSIMフリーモデルが非対応の「おサイフケータイ」が利用できるのも大きなポイント。僕はiPhone Xを主に使っているのだが、電子マネーで支払いを済ませたいことも多いので「おサイフケータイ」対応のAndroidスマートフォンは手放せない。

AQUOS R compactのターゲットは比較的若めの層とのことだが、設定メニューなどが親切なので、スマートフォンに詳しくない年配者でも問題なく利用できるだろう。フルセグこそないものの本体のデザインも上品なので、画面の小ささが気にならないなら大人にもお薦めだ。

難点は、価格が7万円台とちょっと高いこと。5万円台ならかなり魅力的なのだが……。

戸田覚
 1963年生まれのビジネス書作家。著書は120冊以上に上る。パソコンなどのデジタル製品にも造詣が深く、多数の連載記事も持つ。ユーザー視点の辛口評価が好評。

[日経トレンディネット 2018年1月30日付の記事を再構成]