投信ブロガー投票で4位の「野村つみたて外国株投信」が連動する指数は「MSCI ACWI(除く日本)」だが、「MSCI ACWI(日本を含む)」に連動するETFを分析対象とした。データ分析したETF6本の一覧と連動指数を示したのが表Bである。
6本のETFの中で最も運用実績が短いのは08年6月設定の「バンガード・トータル・ワールド・ストック」だ。これに合わせ、17年末時点で9年半前と5年前に一括投資したときの円換算リターンと、この間、毎月積み立て投資した場合の積み立てリターン(投資元本に対する保有時価の割合)を測り、価格変動リスクの大きさを配当込み東証株価指数(TOPIX)に対する倍率で示した(表C)。
海外株指数は米国株優位、世界株は見劣り
リーマン・ショックを挟む過去9年半でみると、米国株型ETFが最も大きく上昇したことが分かる。それと比較して日本を含む全世界株、日本を除く先進国株、および新興国株のパフォーマンスは見劣りする。
例えば、9年半前に一括投資した場合、米国株型ETFは2本ともリスクをやや抑えたうえで、リターンは全世界株型ETFの2本を70ポイント超上回った。9年半前からの積み立てリターンは40ポイント強上回っている。
パフォーマンスは米国株優位という中で、全世界株指数に連動する低コスト投信の評価が高いという結果は、少額で全世界の株に分散投資が可能という投信の大きな利点が改めてクローズアップされたといえる。日本円で売買でき、組み入れ株式の配当金が自動再投資されるので利便性も高い。
参考指数として示した「配当込み日経平均株価」の成績は全世界株型ETFをやや上回っている(グラフD)。にもかかわらず、ランキングでは国内株指数連動型の投信の人気は高くない。
米国発の世界同時株安で改めてリスク点検を
その理由は「国内や米国といった特定地域に限らず、幅広く世界の株に分散投資したい」という考えが多くの個人投資家に浸透してきたからだろう。根底には世界経済全体の成長に対する期待がある。
ただ、今回のパフォーマンス分析はあくまで、米国上場ETFの運用成績だ。表Aのランキング上位投信は、現物株に直接投資せずにETFを組み入れたり、指数先物を一部活用するなどETFによる運用とは微妙な違いもある。
折しも2月に入り、米国発の世界同時株安が起きるなど、相場の先行きは不透明になっている。投信ブロガーによる投票結果は「つみたてNISA」の投信選びの参考にもなるが、下げても慌てずに投資を継続するにはリスクの点検が欠かせない。