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株価乱高下 いまこそ積み立て投資の出番(窪田真之) 楽天証券経済研究所所長兼チーフ・ストラテジスト

2018/2/13

それを投資信託を例に簡単に説明しましょう。値動きが大きい投信Aと、安定している投信Bに積み立て投資した場合の成果をシミュレーションしたものです。

■積み立て投資なら安値で多く買える

投資開始時、1年後、2年後の計3回、10000円ずつ買い付けするとしましょう。投信Aは投資開始時の基準価格が10000円なので1単位購入できます。1年後、基準価格が8000円に下がると、1.25単位購入できます。2年後、基準価格が12000円まで上昇すると、0.83単位購入できます。これにより、合計で3.08単位取得できました。

投信Bは投資開始時、1年後、2年後と基準価格が10000円で変わりません。各時期にそれぞれ1単位購入できます。合計では3.00単位購入できました。

両投信の基準価格がその後、ともに10000円になったとすると、3.08単位を取得した投信Aの評価額は30800円です。一方、3.00単位を取得した投信Bは評価額が30000円になります。

つまり、投信Aは乱高下する中で積み立てを行った成果で、800円の含み益が得られました。それこそが、高値では買い付ける口数を抑え、安値では多く買う積み立て投資の威力です。投信Bでは含み益が得られません。このことからわかるように、積み立て投資には乱高下する資産ほど投資成果が大きくなる仕組みがあります。

私は25年間日本株のファンドマネージャーをやってきました。投信や年金の日本株運用を担当していましたが、うれしかったことと残念に思ったことがあります。

残念だったのは公募投信へのお金の入り方です。景気が好調で日経平均が上昇したときはたくさん投資資金が入ってきますが、景気が悪化し日経平均が安くなったときはほとんど入りません。運用を担当するファンドマネージャーとしては、相場が安いときこそたくさん投資していただきたいと思うのですが、そうはなりませんでした。

■いいタイミングで売買するのは難しい

考えてみると、当たり前のことです。株価が高いときは明るい話が多く、安いときは暗い話が多いからです。普通の人は明るい話が多いときに買いたくなり、暗い話が多いときに売りたくなります。

いいタイミングで売買しようという思いが強すぎるほど、むしろ高値で買って安値で売ってしまいがちです。積み立て投資は、高いときも安いときも淡々と積み立てていくのが最大の強みです。

ファンドマネージャーをやっていてうれしかったのは私の運用しているファンドがDC(確定拠出年金)の対象として、多数の企業に採用してもらえたことです。

積み立てが基本のDCファンドは、08年のリーマン・ショックで株価が暴落したときも、安値圏でしっかり投資資金が入ってきました。結果的に、いいタイミングで株式を買えているはずです。株価が乱高下しているいまこそ積み立て投資の出番です。この機会に検討してはいかがでしょうか。

プロのポートフォリオは運用に精通したプロが独自の視点で個人投資家に語りかけるコラムで、原則火曜日掲載です。
窪田真之
楽天証券経済研究所所長兼チーフ・ストラテジスト。1961年生まれ。84年慶応義塾大学経済学部卒業後、住友銀行(当時)入行。99年大和住銀投信投資顧問日本株シニア・ファンドマネジャー。2014年楽天証券経済研究所チーフ・ストラテジスト、15年所長。大和住銀では日本株運用歴25年のファンドマネジャーとして活躍した。

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