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ギョーザ、止まらぬ進化 多様化するたれ、中国仕様も

大阪のひとくちギョーザ

公共交通機関が特別ダイヤを組み、駅は大混雑。家族へのお土産を抱えた人々でごったがえし、民族大移動などと例えられるほど。そして普段は離れて暮らす家族がそろって春節を祝う様子は、日本人の正月風景と変わらない。違うのは食べ物だけだ。おせちやお雑煮の代わりに北京の人が食べるもの、それがギョーザなのだ。

味はまったく違うが、おせちと春節ギョーザの存在感はよく似ている。

大みそかに「正月三が日に食べるくらいの量」を仕込むのがおせちなら、春節前夜に「春節3日間に食べるくらいの量」を包むのがギョーザである。冷蔵庫に入りきらなかったおせちを家の中の寒い部屋で保存するように、北京でも包んだギョーザを火の気のない部屋へ置いておく。どちらも手間がかかり、大量に作るため、時に家族総出で取りかからねば年が越せない。

中国南方でも小麦粉皮のギョーザはよく食べられるようになった

残念ながら、時代が進むにつれ必然性が薄まっているところまでもが似ている。すべて手作り派はどんどん減り、既製品と手作りが混在する派、家では作らず店で食べてしまう派が増え、いっそのこともう食べない派も出てきているという。日本のおせちもこの数十年でだいぶ様変わりしたが、春節ギョーザもそのうちちょっとレトロな習慣となってしまうのかもしれない。

とはいえギョーザそのものが廃れてしまうというわけではない。なぜならギョーザはうまい、安い、食べごたえの良さで、日常に根づいているからだ。だて巻きなどは正月にしか出合えないが、ギョーザは春節だけでなく、いつでも食べられる。昔と違い、上海や広州などの南方でも小麦粉皮のギョーザはよく食べられるようになった。さらに日本での大人気っぷりは、もう皆さんも大いに知るところであろう。

トマトギョーザ(左)とフェンネルギョーザ

現在、街を歩いていて感じるのは「ああ、ギョーザはあのころから10段階くらいステップアップしたんだな」ということだ。

まずバリエーションがケタ違いに増えた。本場からは現地仕様のものがどんどん入ってくるし、進化系ニューウエーブギョーザも続々と出てきている。日式焼きギョーザばかりだったあのころと比べたら、雲泥の差だ。もうゆでっぱなしの水ギョーザを見て「スープにつかってないじゃないか!」と怒る人はいないだろう。「ギョーザ食べたらニンニク臭くなるぞ」と脅かす人も減っただろう。肉が羊肉だろうと、フェンネルやトマトが入っていようと、かたちが三日月形であろうとなかろうと、もう白い目で見られることはない。むしろそれ目当てに行列ができるほどだ。

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