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次世代リーダーの転職学

転職で年収アップ求めない日本人 こだわりなぜ消える リクルートワークス研究所副所長 中尾隆一郎

2018/2/16

比較的似た結果になっているのが、中国、韓国です。それぞれ「大学生の後期」の割合は中国47.0%、韓国43.5%と半数弱の大学生は短期間で進路を決めています。

一方で「大学生の後期」の割合が低いのは、ベトナム、インド、マレーシア、インドネシア、米国、タイの6カ国です。

では、各国の大学生はいつ決めているのかというと、インターンシップが盛んなアメリカは「大学生の前期」が33.1%ですが、他国は「大学卒業後」が圧倒的に多い。実は、それらの国では、大学卒業時に4割前後の学生は進路先が決まっていないのです。実際、各国で失業問題といえば、若年層が問題になることが多いです。

日本の大学生は、新卒一括採用のもと、就職のタイミングはほとんどの人が同じで、初任給についても一部の企業を除くと大半の企業では、新卒入社時には大きな差異がありません。加えて、入社後についても、「終身雇用」「年功序列」的な人材マネジメントのもと、査定などにより従業員間で給与に大きな差異が生まれにくい現状があります。

さらに、日本企業では、給与の情報が同僚、友人・知人間に共有されることもほとんどありません。つまり、賃金の情報が少なく、なんとなく横並びであるという幻想を持ちやすいのです。

また、正社員については、一般的に解雇規制も厳しく、雇用の安定性もあります。結果、「給与が大きく増減しない」という点や「雇用が安定的である」ということが当たり前だという幻想を持ちやすく、上位項目として出てきにくいのだと推察できます。

一方、チームで仕事をするケースが多く、労働時間が長いことなどから、人間関係、仕事内容、勤務時間・休日などが上位に並ぶのも理解できますね。

■人生100年時代、キャリアは自分で考える

日本では、大企業を中心に、中長期的な視点で人材を育成し、安定的に長期雇用してきたという特徴があります。このおかげで、諸外国で問題になる若年失業率は低い水準です。また、賃金や雇用の安定も従業員一人ひとりというより、雇用している企業が主導して対応していました。これこそが、日本の働く個人が「賃金」を重視しない理由です。働く個人が賃金を重視しなくても、「企業がよしなにやってくれるので何とかなっていた」とも言えるかもしれません。

しかし、人生100年時代、80歳くらいまで働くとすれば、現在の会社で働き続ける可能性の方が低いでしょう。転職が当たり前になり、回数も増えていくなかで、賃金や雇用の安定性、そして自分のキャリアの築き方も、会社ではなく、個人が主体的に考える時代が来るのは明らかです。

※「次世代リーダーの転職学」は金曜更新です。次回は2月23日の予定です。この連載は3人が交代で執筆します。

中尾隆一郎
リクルートワークス研究所副所長・主幹研究員。リクルートで営業部門、企画部門などの責任者を歴任、リクルートテクノロジーズ社長などを経て現職。著書に「転職できる営業マンには理由がある」(東洋経済新報社)、「リクルート流仕事ができる人の原理原則」(全日出版)など。

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