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転職で年収アップ求めない日本人 こだわりなぜ消える リクルートワークス研究所副所長 中尾隆一郎

2018/2/16

つまり、そもそも日本では給与水準を理由に転職している割合が低く、転職時に給与水準が上がるように活動していない人も多いという特異性があるのが分かります。

■現在の職場でも「高い賃金」を重視しない日本

転職に限らず、仕事をするうえで重要視している点においても、日本の特徴が表れます。少し古い情報ですが、リクルートワークス研究所のリポート「アジアの『働く』を解析する」(2013年)では、中国、韓国、インド、タイ、マレーシア、インドネシア、ベトナム、日本のアジア8カ国に米国を加えた9カ国の「働く」についての様々な比較を試みています。

ここでも、日本の独自性が際立っています。例えば、「仕事をするうえで大切だと思うもの(3つまで選択)」という設問に対して、「高い賃金、充実した福利厚生」を選択した割合は、高い順にインドネシア、中国、マレーシア、ベトナム、韓国、タイの6カ国で70%を超えています。そして10%以上の差があってインド(58.8%)、米国(56.9%)が続き、日本はさらに15%以上離れて39.0%と、唯一、過半数を割っているのがわかります(表2参照)。

(表2)「アジアの『働く』を解析する」から、仕事をする上で大切だと思うもの(3つまで選択可)

つまり日本は唯一、仕事をする上で「高い賃金、充実した福利厚生」を重視する人が4割弱しかいない国なのです。ちなみに、日本はトップ3まで見ても、「人間関係(56.0%)」「仕事内容(51.3%)」「勤務時間・休日(49.0%)」と、高い賃金や充実した福利厚生は出てきません。

■日本は「賃金」よりも「職場の人間関係」

参考までに、各国の選択項目のトップ3を抜き出してみました。

●インドネシア (1)賃金・福利厚生 (2)キャリアパス (3)人間関係
●中国 (1)賃金・福利厚生 (2)キャリアパス (3)仕事内容
●マレーシア (1)賃金・福利厚生 (2)雇用の安定性 (3)仕事内容
●ベトナム (1)賃金・福利厚生 (2)教育研修 (3)雇用の安定性
●韓国 (1)賃金・福利厚生 (2)勤務時間・休日 (3)雇用の安定性
●インド (1)賃金・福利厚生 (2)雇用の安定性 (3)キャリアパス
●タイ (1)賃金・福利厚生 (2)雇用の安定性 (3)仕事内容
●米国 (1)賃金・福利厚生 (2)仕事内容 (3)雇用の安定性
●日本 (1)人間関係 (2)仕事内容 (3)勤務時間・休日

インドネシア、中国以外の6カ国でトップ3に入っている「雇用の安定性」が日本では入っていません。また、日本で1位の「職場の人間関係」は、インドネシアの3位を除くと他の7カ国ではトップ3に入ってこないのです。

■日本人が給与にこだわらなくなる仕組み

最後に大学生が卒業後の進路を決めた時期について確認してみましょう。選択肢は、「中学卒業以前」「高校時代」「大学生の前期」「大学生の後期」「大学卒業後」の5つです(表3参照)。

(表3)「アジアの『働く』を解析する」から、卒業後の進路を決めた時期

ここでも日本の独自性が際立っています。日本は「大学生の後期」が66.3%と3人に2人が大学3年生、4年生の時期に決めているのが分かります。企業の新卒一括採用や就職協定などの日本独自のルールの存在を考えると納得できます。この結果、「大学卒業後」に進路を決めた割合は17.8%。「大学生の前期」は12.1%とかなり少数派なのです。

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