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キャリアの原点

「家事が苦手」な富士通元SE 逆手に挑む代行シェア タスカジ 和田幸子社長(上)

2018/2/13

 起業して会社を経営するようになった今、ビジネススクールで学んだことは、とても役に立っています。日々、多くの課題にぶつかりますが、自分が今、直面しているのはどの分野に属する課題なのかが明確にわかるおかげで、対策を立てやすいのです。経営は「レバーの引き方だ」とよくいわれます。1つのレバーだけを強く引くと、ほかの部分に支障が出てしまう。Aのレバーを引いたら、次はBのレバーというように、優れた経営者は複数のレバーを次々とバランスよく引いているのを知りました。

「タスカジ」のスタッフとレシピ交換会に参加する和田幸子社長(右から2人目、東京都港区)

 MBAを取得する過程で、経営の見取り図を手に入れたことと、実際に困難に直面した経営者がいつ、どんな場面でどのレバーを引いたのかというケーススタディーを重ねたことにより、次々と降りかかってくる困難もどうにかして乗り越えられるという見通しがつくようになったことが、一番大きかったと思います。

■大学院時代に「プチ起業」して失敗

 じつは、以前にも少しだけ「起業」を経験したことがあります。ビジネススクールに通っている間、同級生を含む約10人と、カレンダーで情報共有できるツールを開発したのです。当時は富士通に在籍していましたから、社員にはならず、出資しただけ。10人もいたらさぞやすごいことができるだろうと期待したのですが、結果的には失敗してしまいました。

 起業は山あり、谷ありです。カレンダーで情報共有するというテーマは、誰か1人の強い思いがあって選んだのではなく、皆で話し合った結果でした。私は当時、起業さえすればテーマはなんでもいいと思っていたのですが、自分が本気で取り組みたいテーマでなければ、その山あり、谷ありを乗り越えるエネルギーがわいてこないのを痛感しました。

 スタートアップの人数として、10人は多すぎたのかもしれません。人数が多いと、議論するたびに事業の方向性が変わっていってしまいがちです。定例会ばかり開いて、なかなか前に進まないもどかしさも感じました。そんな経験がありましたから、次に起業をする機会があれば、まずは1人で始めて、軌道に乗ってからメンバーを増やしていこうと思いました。

■「家事」は自分にとって切実なテーマだった

 家事代行サービスというテーマを選んだのは、自分にとって家事が切実な問題だったからです。ビジネススクール在学中に現在の夫と結婚し、32歳で第一子を出産。最初から仕事には復帰するつもりでしたから、育児休業中からなるべく夫を家事と育児に巻き込むよう、工夫をしました。

 3つ年下の夫とは、結婚前から将来のキャリアについてよく話をしていました。家計の話もしたうえで、「共働きじゃないと将来的に不安」という考えで一致し、家事・育児についても「お互いに我慢しないといけない部分はあるかもしれないけれど、協力してやっていこう」と納得し合っていました。

 育休中も毎日、夫には子どもと一緒にお風呂に入ってもらいました。寝かしつけも夫が担当。土日もなるべく一緒に過ごしてもらい、子どもが夫に慣れるよう、環境づくりをしました。これなら大丈夫と感じたところで職場に復帰。当時は短時間勤務を選ぶ人の方が多かったのですが、私はとにかく仕事がしたかったので、フルタイムで復帰する道を選びました。

 夫は平日の半分は定時で帰宅し保育園に迎えに行くなど、家事・育児にとても協力的でしたし、職場の人たちもフルタイムで復帰することを歓迎してくれていました。それでも、両立するのにはかなりの体力がいりました。

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